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目覚め


記事No.112  -  投稿者 : NICE  -  2011/05/01(日)15:25  -  [編集]
俺には彼女がいた。
上手くいっていた。
学校も楽しかった。
そんな平凡な日々に、新しいものが訪れるなんて、想像もしてなかった。

俺の家は、親が厳しくて「友達と遊ぶ」というと、ひどく拒否られた。
そんな親が、一か月間海外旅行をしてくるといった。
それがきっかけでもあった。

俺は、親の留守をいいことに、家には帰らず遊びまくった。

「俺、今うち誰もいないから、楽ぅ〜」
友達の前でも、自慢げに語った。
ある日、仲のいい友達・聡(仮名)に「泊りに行ってもいいか」と言われた。
断る理由もなく、すんなり受け入れた。
あれがきっかけだったのかもしれない。

当日、聡は俺の部屋で寝た。俺も隣で寝た。布団の中で、ずっとしゃべりながら一晩を過ごした。
次の日の朝、聡が言った。
「やべっ、昨日風呂入ってなかった…」
「あっ、そか。俺も忘れてた」
「入っとこぉぜ」
「んっ、じゃ、俺先入ってくる」
次に聡が言った。
「一緒入ろうぜ」
流石に俺は断ったのだが、「友達やろ?細いこと気にすんな」と言われたのでしぶしぶ了解した。
「誰かとの風呂なんて、銭湯以来ないな」とか思いながら、適当に着替えと聡用のタオルを持って脱衣所に行った。
そこではもう、聡が脱いでいた。冗談交じりに会話を交わし、できるだけ下半身を見ないように自分の服を脱いだ。
「あぁ、ごめんね。椅子一つしかないから」
といって聡に差し出すと
「一緒座ればいいじゃん」
と言われた。小さなプラスチックの椅子に、背中あわせに座った。俺は適当に体を洗うと、桶で水を汲んで泡を流してさっさと立ち上がろうとした。
「待ってよ。早くね?上がんの…」
「はっ?だってもう洗ったし…」
「俺が終わるまで座っててよ」
仕方なく座った。何をしていいか分からず、窓の方に目をやった。朝日が差し込んでくる。
「なぁ。」
聡が言った。
俺が「何?」という前に聡の手が俺の太ももを撫でていた。一瞬何が起こったのか分からず、呆然と聡の顔を見た。その時、俺の中にある感情は一つだった。
「聡って、よく見たらかっこいいじゃん」
聡の手が、俺の股間へとのびていく。
「ちょ、ちょっと。まてまて」
俺は飛びのいた。が、聡は優しく笑って言った。
「なに興奮してんの?たってんじゃん。おれがぬいてやるって…」
「はっ?何言ってんの?何趣味悪ぃ事言ってんの?」
聡は立ち上がって、俺を裸の体で抱きしめた。股間と股間とがぶつかるのが分かった。
俺は、心臓の鼓動の速さに息が止まりそうだった。
俺の背中にまわしてあった聡の手が、再び俺の股間にのびてきた。
「許せよ」
聡は言うと、俺のをしごき始めた。聡の手が上下に動く。温かいもので包まれているような不思議な気分だった。はっきり言って気持ちよかった。そのせいか、いつもよりも早めに出てしまった。
「もうおしまい?早っ!」
うっすらと笑って、聡は俺の股間を舐めてキレイにした。
「悪かったな」
そういって、聡が風呂場から出ようとした。
「待てよ」
俺が言ってしまった。
「お前、そっちだったのかよ」
きくと、聡は正直にうなずいた。
「だったら、こんなんで終わっていいのかよ」
俺はバカだと思った。でも、俺は聡のことを好きになってしまった。そう実感した。
聡は乱暴に俺を風呂の中に押し込んだ。水しぶきが上がる。と同時に聡も入って来た。
聡は真剣な顔で、俺の上にまたがった。両腕で、俺の股を広げると自分のそれを、俺の中に入れてきた。初めは痛みすら覚えた。ただ、必死にこらえ、腰を振る聡の顔が気になってしかたなかった。聡が出した後、共に相手のを握りあい、互いに出した。
一通り終わると、二人で笑った。その時、どこか悲しいものがあることを聡は知らないだろう。

聡とは、
未だにこういうことをしている。
相手を思う気持ちは、冷めないままだった。
これが俺の、こっちの世界への目覚めだった。

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