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やっと掴んだ幸せ4


記事No.493  -  投稿者 : タクミ  -  2014/09/29(月)08:23  -  [編集]
そのお客さんの名前は貴士さん。貴士さんは俺がゲイビに出てる事を全く知らない様子だった。
最初の日に食事をしてから、俺も貴士さんと色んな話をしてみたいって気持ちになった。
全く手コキすら無いのに、必ず店を通して予約を入れてくれる。
「仕事全然して無いのに良いんですか?」って聞いたんだけど、「脱がないタクミ君とこうして飯食ったりが幸せ」と言ってくれた。売りじゃなくなったけど、マッサージも脱いでサービスするのが仕事。しかし貴士さんは全くそんなの無し。
自慢じゃないよ、イケメンとかは良く言われたけど、貴士さんだけは「綺麗だよ!」と言ってくれた。
人を疑う、売りなんかしてたらいつも半信半疑で人を見る。信じたら痛い目に合う。売り何てそんな世界。甘い言葉を言う人に限って後が怖い。
やるだけやってバイバイの人の方が楽。
信じても必ず裏がある。でも貴士さんは変わらないで毎回リピをしてくれた。
飯をご馳走してくれ一緒に食べ楽しく会話。貴士さんとの会話には為になる話が多い。仕事もして無いのにご馳走になり給料をもらい、ボーイとしてはめちゃくちゃ良い、楽なお客さんって思う人も居ると思う。
批評掲示板に手抜きボーイって書かれてる?何て心配もしたけど、貴士さんはそんな事もなかった。
「仕事しないのにお店通してもらうの申し訳ないです。俺はそんなに高く無いです。」って言ったんだ。
「それはルールじゃない?ヤミケンとか騒がれると良くないよ。」と言った。
毎回ご馳走にもなってたし、最初以外には触れる事も触れられる事も無い。
クリスマスイブに予約を入れてくれた。
どうにか御礼がしたくて、待ち合わせ場所に車で行ったんだ。
「何もお返しが出来ないから、今の俺に出来る事をします。」
「御礼何て良いのに、一緒に居れるだけで良いんだよ。」って言ってくれた。
クリスマスプレゼントにって服を選んでくれたんだが申し訳なくって、安い店を選んで購入してもらって、飯を食って夜のドライブをしたんだ。
「自分の車?」
「うん、そうです。」
「何か嬉しいな。タクミ君とイブにドライブ出来ちゃったな。」って喜んでくれたんだ。
年が明けても変わらず指名してくれ、変わらず飯を食ったり。
「卒業したらどうするの?」って話になった。
「何処かの店に入って頑張りたい。」って言った。
実はその時、更に金が必要になってた。追加で勉強してた分の支払いしなきゃいけなかった。それと、お祖母ちゃんと言うより伯母さんだろうが、成人式を迎えたのだからもう面倒は見ないと言う話があった。家を出なきゃいけない。
死にたいくらい。まだ歩き出せて無いのに、どうしたら良いんだ?卒業まで色々な試験も課題もある。毎日バイトに入っても無理。
車を売ってもオンボロ車だから。
支払いしないと卒業出来ない。家からも出ていけと言われてる。
俺はどうしたら良いか分からなくなった。
かといって、パトロンになってって言えないし、身体目当ての人ならずっと身体で奉仕するしかない。
貴士さんとは気心知れて来た、気心知れても全く変わらない姿勢で接してくれてる。
でも貴士さんとは出来たら、、、貴士さんに父親に対する愛情と言ったら良いのかなー?愛が欲しいって思う様になってた。
身体じゃなくて愛されたい。
「実は話したい事があるんです。」って電話した。
「じゃあ予約を入れておくから」って言ったから、「俺の個人的な事だから」って言って直接会う事にした。既に親の離婚とか全部話はしてた。
学費が足りない事と家を出ないといけない事、死にたいくらいにつらい事を話した。
貴士さんはどう言う?不安もいっぱい。
「金が要るからパトロンになれってことか?」と言った。貴士さんもそうか、やっぱりそうかって思った。「いくら必要?」
「90万です。」
「それを払わないと卒業出来ないんだな。」
「そうです。」
「僕はな、タクミ君が本当に裸を売るの辞めるなら出すよ。」そう言った。
「でも、俺は何もしてあげれないから、、、」
「じゃあどうしたい?」
「俺は愛されたいんです。愛が欲しいんです。」思わず言ってた。
「本当はパトロンとか身体とか売りたく無い。でも仕方無かった。」とまた言ってしまった。
「愛を探してた?」
「愛されたい。俺は何もしてあげれないけど、貴士さんから愛されたい。わがまま言ってるし、ホントむしのいい話ですよね。」俺は最低なヤツだと思った。
「わかった。何時までに払えば良いの?」と貴士さんは言った。
「本当に、、、」
俺の身勝手な話に貴士さんはOKしてくれた。
だけど、、、何も無いのに出すよって普通は有り得ないよね。
出してって言って出してくれるって事になったけど、裏があるよなー絶対裏があるよ。
でも貴士さんに助けてもらわなきゃ生きていけない。頼んでおきながら半信半疑って自分でも情けない。
貴士さんは毎回出張で来てた。その都度ホテルを手配してたけど、マンションを借りるから住んだらと言ってくれた。


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