金が要るからやりはじめた事だけど、売り何かしてたら人間不信になっちゃう。言葉巧みに美味しい話して来るし、さんざん言っておいていざというときは消えてしまう。
親もそうだった。言いたい事だけ言って、いざというとさっさと消えた。
文句だけ言って責任持たない。
結末わかってんだ。てきとーな所で捨てられちゃうんだよね。
親にされ、お客さんにもされだ。みんな口先だけ！
貴士さんも絶対そうだって思いながらも、後先考える余裕もなかったんだ。
ホントに貴士さん信じて良いの？って思いながらも、すがる他には無かった。
一か八か？その時はその時。他のお客さんには見せた事も無い俺を見せた。
学校も教えたんだ。
貴士さん、お金持って学校へ支払いに行ってくれた。「母親といとこって言う事にしといた。」って言ってくれた。
家にも居づらかったし、貴士さんが泊まるホテルから学校も近いから、ホテルへ泊めてもらう様にもなってた。
一緒に部屋見に行ったり、家電製品選びに行ったり。身体は１つになれないけど、貴士さんとお揃いの物が欲しくなった。
「お揃い欲しい。」って言った。
「お揃い良いの？タクミとお揃い持てるの嬉しいな。何が良いの？」って、、
「アクセサリーが良い」
「ペアのリングは？」って言われた。リングでも良いんだけど、水仕事だからやっぱり首の方がって事で、お揃いのアクセサリーとチェーンにペアリング。
何か一緒に居るって感じでめちゃくちゃ嬉しかった。俺のわがままで言ったんだけど、驚いてくれたのは貴士さんで、ホントにペア良いの？ホントに良いの？って言ってくれた。
何かこの人は違うなって思えて来た。口先ばっかしの人たちと何か違うんだ。
売りにしてもマッサージにしても身体目当てでやれれば良い人たち。自分を気に入ってもらおうって言葉巧みだもん。どうなるかホントに怖かった。
だけどね、すごく安心出来るって気持ちもあった。
一緒に選んでると何か近づいてた。
「僕はかまわないけど、そんなに近くで良いの？」って、、、
友達以上恋人未満な気持ちと、、、母さんでもあり父さんでもあるような気が、、、して来た。
何でも出来る人で、ホテルで俺の服のボタンつけてくれたり、縫い物もしてくれたんだ。
バスで、席１つしか空いて無かったから貴士さんに座ってもらったんだけど、俺もたってるの面倒になったし、スマホで部屋探ししてたから割り込みして座ったんだ。疑いながらも、でもやっぱ好きって気になってた。
ホントなら貴士さんの為に何かしないといけないのに、身体で払えば良いのかも知れないけど、、、仕事では出来てたのに、男とは出来なくなってた。
俺、ホントに失礼なヤツだって情けない気持ちにもなった。一番俺に金出してくれてる人なのに、何もして上げれて無い。貴士さんも何も求めて来ない。出したんだから出した分だけガッツリって人ばかりだったし、それに応えるだけの事をしないとバイバイだったから、やっぱ不安だったな。売りってホントに恐い。払った以上の事を求めるし、営業なのに勘違い。営業だから誉めるさ、気持ち悪くても気持ち良いって言うさ。金もらわないといけないから、営業しないといけないから、上手だって言うさ。そしたら本気になる人だって居る。
欲しくも無いのに、これ見よがしに持って来る。
でもさ、上手言わなきゃ今度は叩いて来るし、トラウマにだってなる。
だから恐い。
マッサージでも、金出すから裏メニューでやらせろって人居たし、システムに含まれて無いって言ったら手コキだけでこんな料金取るのか！って怒る。
仕事だから出来た。だけどね、ホントに出してくれてる人に一番考えてくれてる人に何もして無い。いつも絶対に捨てられるって思ってた。
一番考えてくれてる貴士さんの前で、全く上手も言わないし、全くダメな自分を出してる。超最低！
「素のタクミ見れて僕は幸せだよな。」って、、、
この人、違うって思った。批評掲示板最低！手抜きボーイって色んなボーイが叩かれてる。俺が貴士さんの前でやってる見せてる事って、手抜きボーイ、金金金ボーイって書かれてる通りの事をしてる。
でも、でも、貴士さん素の俺が見れて嬉しいって言うんだ。
身体じゃない金じゃない！俺は愛が欲しい。貴士さん、父さん？母さん？ホントそんな感じに思える。
卒業間近にマンションが決まった。就職が決まってた店までチャリで行ける場所。貴士さんも出張に便利な場所だ。
お祖母ちゃんの家から叔母さんが居ない時を狙い、荷物を持ち出した。
貴士さんも一緒に荷物を運んでくれた。
実家まで知った人は貴士さんだけだ。
選んでる場合じゃない、どうしようも無い中、学校も実家も何もかもを貴士さんは知った。
やっぱまだ疑ってたんだよなー！
毎日一緒じゃない、貴士さんが週１で泊まる。