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オトコどうし


記事No.766  -  投稿者 : 鉄平  -  2018/01/29(月)16:30  -  [編集]
今自分に起こっていることを書いていきたいと思います。
今まで、俺の恋愛対象は女性でした。男とどうこうなるなんて考えてもいませんでした。嫁との仲も、特段問題が起きたわけでもなく、夜の営みも若い頃ほどではないですがありましたし、不満はありませんでした。


男を知ったのは彼と出会ってからです。ちなみに自分は既婚者であり、2児の父親でもあります。

彼との出会いは、会社帰りに寄った銭湯でのことでした。家に帰っても、子どもが小さいこともあり、ゆっくりはできないので、次の日が休みの時なんかはたまに立ち寄る銭湯です。その日の客は、ほぼ近所の老人で、客数もちらほらいる程度でした。湯船に浸かり、それからサウナに入りました。中には老人と若い男性の2人。俺が入ってすぐに老人は出て行き、サウナの中は、俺とその男性だけになりました。
室内のテレビで流れていた映画がCMに入った時のことでした。「観たことがない映画をこういう所で途中から観るともったいないきもちになりますよね」会話の始まりは彼からでした。「いつか観ようと思ってたやつなら余計そう思いますよね」俺はそう言いながら彼の方へ目を向けました。


その時の彼の印象は、年齢は20代後半くらい、身体は運動してるんだろうなって具合に締まっていた感じでした。

「あー、そういう時は、できるだけ他のこと考えて、頭に内容が入ってこないようにしますね」彼もこっちを見ながら答えた。「いつかその内、今度観ようって思いながら、ほとんど観ない映画が多いんですけどね。だから結局、熱さから気を紛らわすためにも数分だけだけど観てしまうんですよね。どうせ観ないよなって思いもあって」 そう俺が言うと彼はニコッと俺に笑いかけた。
「この銭湯にはよくいらっしゃるんですか?」
その後、二言三言、会話を交わしたあと、先に入っていた彼は限界だったみたいで、お先にという感じで先に出て行き、俺もそれから水風呂とサウナを交互し、身体を洗い浴室を後にした。
着替えを済ませ、男湯を出て飲食コーナーでビールを飲んでいると、そこにさっきの彼が男湯から出てきた。目が合ったので会釈をするとこっちへやって来る。「晩酌ですか?」と話しかけてきた。「そうですよ。家に帰るとゆっくりできないので」そう答えると「もしよかったらご一緒していいですか?」と彼。もちろんということで、一緒に飲むことに。券売機で食券を購入しカウンターへ。一度戻って来たが、直ぐに出来上がったようで、取りに行った彼は、右手にビール、左手には枝豆を持ってニコニコしながらやって来た。

彼の名前は京介。28歳で俺の4つ下だった。目鼻立ちははっきりしており、眉も太く、キリッとした爽やかな青年だが、笑うとすごく柔らかい優しい顔になる。最近この近くに越して来たらしく、この銭湯もこの日が初めてとのことだった。冬はスキーをし、最近はボルタリングを始めたとのこと。仕事はフリーでカメラマンをしているらしく、色んな所へよく行くらしい。
恐らく、この時点で、家と会社の往復を繰り返し、自分の時間といえる時間は、会社と家との間のこんな帰り道くらいしかない俺には、そんな彼がとても魅力的にうつり、好感を持ったんだと思う。いや、細かくいうと、サウナの中で話した時、表情、彼の笑顔を見たときには既に好感を抱いていたと思う。見てくれや喋り方、恐らく声のトーンもだが、不思議と、もしくは必然的にかはわからないが、彼は人を惹きつける魅力のある、そんな奴だった。

彼とは家の方向が逆だった。銭湯を出て別れる前にまた飲もうという話になった。来週の同じ時間に風呂の中で待ち合わせをしようということになり、俺は家に帰った。

このときはまだ、これから起こることは全く予想していなかった、俺の価値観、世界観がガラリと変わることになる。
いいか悪いかは別として。
ただ、このとき抱いていた彼への好意は今考えると、何か発展を期待するものだったんだと思う。

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