死ぬ事はしない。あの時はおかしくなってでは無いよ。
これ以上、陵介には金は出せない。毎月、少なくとも25万は陵介に必要だった。それだけでなく更に追加。稼いでも無くなる処か、借金もしないといけない位だった。陵介の所へ行けば請求書が投げっぱなし。
いい加減気付いてくれないと、火の車でこれ以上には出来ない。
どうすれば陵介を気付かせる事が出来るか？。
仮病も使った、電話を無視もした。無いよと言っても根刮ぎ。
このままでは財産の処分？。自分が死ねば生命保険がある。そう考えた陵介を生かす為の親心として捉えて欲しい。マイナスな発想だが子を生かす為の親心。
自分が辛くてでは無い、子を守るにはそれしか無いと考えた。
過去に自死は実行した事は実はある。こんな境遇に生まれ育った事や、本当に自分自身が嫌にもなった。４日眠り続けて目が覚めた。俺は今、死ぬ訳には行かない。陵介のこれからの歩みを作ってやらないといけない。あいつは俺の所にしか帰る場所は無い。
ここを帰る場所として陵介はやってる。ちゃんと陵介が本当の独り立ちが出来る様に、其が済むまでは死ね無い。
俺の陵介に対する思いは全てが含まれる。全てを含んで陵介を愛してる。直してやらないといけない事もある。親として見てやらないといけない事もある。
陵介が求めるなら、俺は恋人にもなる。俺の身体で処理したいなら、俺は陵介に思う様にされても良い。陵介が欲しいと言うならそれもだ。しかしただただ、陵介を抱きしめたい。ずっと抱きしめ続けたい。

親同士の集まりで様々な子供への思いを聞く。バカだとか言いながらいとおしい事がわかる。
子供を悪く言いながら、でも心の中では最高の子と。
俺も同じ気持ちで話をする。去年の夏祭り、陵介を息子として町内の仲間に紹介をした。
本当なら今年から町内の青年会に入れようと思ってた。
祭りの手伝いをさせようとも。
秋祭りはどうだろうか？。
子を持つ親同士の会話に参加出来る。俺は今まで民生〇〇として、保護〇として地域に関わってた。親として関われる喜びがある。
地域に陵介をなじませたい。
兄貴の実家に行くと、田舎の祭りに参加させてもらった。
兄貴と祭りを楽しみ、帰れば祭りの為の郷土料理が並んでる。
兄貴からそんな幸せをもらった。陵介には俺しか居ないが、地域には親父の仲間が居る。一緒に騒げる。
ただ、まだ俺の中では幼い精神の陵介が抜け切れて無い。
大人な精神になりつつある陵介。可愛いままの陵介ではいけないんだとわかってても、甘えん坊な陵介が胸の中にある。
身体の成長では無い、精神面だから気付いたら早いのも当然なんだろうが、陵介はあの日以来成長してる。わかってても可愛い陵介、甘えん坊な陵介が俺の中にある。

兄貴と過ごした時期は俺は幼かった。愛されたい一心だった。
出会った時の陵介と同じだった。恵まれ無かった家族関係を兄貴と築こうとしてた。
諦めてた家族関係がまさかの形で、今まさに出来上がった。
ずっと尾を引いてた。数人と出会い付き合う事もした。男も女もだ。更に前の相手は兄貴に似てる。ずっと心に思ってた兄貴と、ようやく心も身体も結ばれた気になってた。しかしそうでは無かった。肉体的な距離は無いのに、心の距離はずいぶんあった。身の回りの事は全てしてくれる楽な相手だったが、一緒に何かをすると言う事は無かった。出掛ける事もしてたが、常に心の距離があった。
陵介と出会い、心の距離は無い処か、俺の中におもいっきり飛び込んで来た。飛び込んで陵介一色に染めた。染めて染めて、離れてても消える事が無いように、更に親としての刺青をもだ。
陵介とならゲイである俺を隠さなくても良い。ゲイの親父でこれからの人生を歩める。陵介に俺の処理までは求めない。たまに売り専に行かせてもらえば良い。恋人を作る気は無い。作るなら陵介を受け入れてくれる奥さん。肉体的繋がりは要らない、他人ばかりになるが、陵介を間に置いた家庭を作りたい。陵介が居るなら子供は要らない。陵介が俺の子供なんだから。俺はわかった。陵介と家族を作りたい。其がふたりだけなのか、それとももう１人加わるのか？。陵介がふたりだけと言うならそれでも良い。
数年後に陵介が結婚するならそれも良い。陵介の子供…孫を抱いてもみたい。笑
そう、陵介が俺の子供であってくれさえすれば、俺は何も要らない。陵介が宝物だから。