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水色の太陽 第4章 一
記事No.107 - 投稿者 : one - 2009/08/01(土)22:06 - [編集]
ギシ ギシ…、
ギシ ギシ…。 スプリングが軋む音がする。 よく耳を澄ますと、その一定間隔で響く鈍い音に合わせるように、グチュ、グチュという卑猥な水音と、小さな、人の、呻きのような、喘ぎのような、そんな声が聞こえた。 武人は、その聞き慣れない音声と、下半身に感じる違和感の為に眼を開けた。 眼に映ったのは、自分の下半に跨がる誰か。顔は、髪でよく見えない。汗だくになって、武人の上でうごめいていた。武人の胸に手を置いて、無心に腰を振っている。 その妖美さから、一瞬女のようにも見えたが、胸の膨らみは無いし、腹筋は綺麗に割れている。何より、それの下腹に隆々と起立するものは、女性には決して付随しないものだ。 その天を向いて隆起したものの先からは、透明な液が溢れ、武人の腹に糸を引いている。スプリングの軋みと同時にその起立も上下し、また、武人自身のそれにも電撃のような快感を与えた。恐らく、武人のものは『彼』の中にあるのだろう。 男同士なんて、考えた事も無かったが、その光景は十分過ぎる程に淫乱で、武人に大きな興奮を与えた。 『彼』が一度大きく動いた時、武人は堪らなくて「うっ!」と声をあげてしまった。それに気付いて、『彼』は顔をあげた。 「…起きたのか?」 乱れた息の中で『彼』はそう言った。スプリングの軋みと卑猥な水音は依然鳴り続ける。 「…誰?」 そう武人が聞くと、また『彼』は大きく動いた。武人もまた堪えきれなくて声をあげる。 「…俺だよ。」 そして、その見覚えのある顔はうっすらと笑った。 「進藤…先輩…?…なんで…うっ!」 心なしか、さっきより軋みのペースが上がった気がした。 武人はその『夕』の身体に手を伸ばした。汗でしっとりと濡れている。彼の充血したペニスからはとめどなく先走りが溢れていた。 「…なんでって、…お前が望んだんじゃないか。…こうしたかったんだろ?…だから、だよ…。」 俺が…? 武人は自問しながら、無意識に『夕』の先走りでどろどろのそれに触れた。瞬間『夕』はビクッと反応して「あっ!」と大きな声を上げた。それと同時に中も締まって、武人にも電撃が走る。 「ダメだよ、武人…。触っちゃダメだ…。もうヤバイんだよ…。お前のでっかいのが、俺の気持ちいいとこにゴリゴリ当たって、今にもイキそうなんだ…。」 『夕』は乱れた声で、淫乱な目つきでそう懇願した。武人もそろそろイキそうだ。無意識に武人も腰を動かす。二人の喘ぎが大きくなる。 「…なぁ、武人、俺ん中、どう?気持ちいいだろ?ぎゅうぎゅう締まってさ…。…そろそろ、イクんじゃねぇ…?なぁ。」 夕はそう言うと、身体を少し後ろに倒して、腰を突き出し、まるでペニスを強調するような体勢になった。 血管が脈打ち、大きく天を指すそれは先走りに濡れて光沢を放っている。武人はその淫乱な情景に息を飲んだ。『夕』の中にある自分が、ますます硬くなった気がする。武人は、我慢出来なくなってその突起に手を伸ばした。 「ぅあ!?無理だって!やめろ!」 先走りに濡れたそれは滑りがよく、上下に扱くとぐちゃぐちゃと卑猥な音が鳴る。そして武人を包む空間はますます縮んだ。 「あ〜!!無理無理!ダメだ!ダメ!あっあん、あっあっあ…。」 『夕』は天を仰いで、狂ったように喘ぐ。武人の手の中で彼のペニスはどんどん暈を増した。 「先輩…、一緒に…。俺も、もうイキます…!!」 「いっくぅ…、あーー!!」 『夕』の絶叫と共に、彼のペニスは凄い勢いで白濁液を噴射した。幾度となく溢れ出るそれは、留まるところを知らない。 二発、三発と『夕』自身の胸や腹、顔に打ち付け、振動でぶれた拍子に武人の顔や胸にもかかった。武人自身も、大量の精液を『夕』の中に放出していた。 そして、仕切に鳴っていたベッドの軋みは、いつの間にか目覚ましのアラームに変わっていて、武人は『ヤバイ!!』という気持ちの中目を覚ましたのだった。 そこには夕の姿は何処にも無く、有るのは自分の下半身の不快感だけ。 『やってしまった…。』 武人は布団の中でその惨事を確認する。それはもはや大洪水を喫していて、下着は再起不能で漏れた液がシーツまで濡らしていた。 「…む…夢精とか、何年ぶりだよ…。」 どうやら発射したのはつい今しがたらしく武人のものはまだ硬いままでびくびくと脈打っている。快感の余韻もまだ残っていた。 「そういえば最近オナニー全然してなかったなぁ〜。」 武人はベッド脇のティッシュで応急処置をしながら、そう独りごちた。どうも最近はアダルト雑誌を開いてみてもイマイチ興奮しなくて、以前は毎日欠かさず行っていたマスターベーションもご無沙汰だったのだ。 応急処置が終わって、ベッドに腰掛けて武人はさっきの夢の内容を思い出してみた。 『確か、進藤先輩だったよな…。騎乗位で…俺が…、先輩のチンコ扱いて…。』 思い返すと、とてもヤバイ夢をみたんじゃないかと、そんな気になった。なんせ、相手は男で他校の先輩。クールで、あんな淫乱な事は絶対言わないしやらない。 …ふと、武人はあの夢の中で夕が言っていた台詞をどこかで聞いた気がした。 確か…。武人はベッドの下に放置してある、昨日見ていたアダルト雑誌を手に取って、パラパラとめくってみた。 その中のある官能小説のあるシーンにこんな台詞があったのだ。 「ダメだよ、裕介…。触っちゃダメ…。もうヤバイの…。裕介のでっかいのが、私の気持ちいいとこにゴリゴリ当たって、もうイキそう…。」 「…ねぇ、裕介、私の中、どう?気持ちいいでしょ?ぎゅうぎゅう締まってさ…。…そろそろ、イクんじゃない…?ねぇ。」 「ってあれ美香ちゃんの台詞のまんまじゃね〜か!」 武人はそう心の中で叫んで、今の今まで自分が呑気に寝ていたベッドに身体を預けた。そして武人は自分を軽く軽蔑するのだった。なんだか、尊敬する先輩を酷く汚してしまったようで…。 それと同時に、男とセックスをする夢を見てしまった事に、とてつもない疑念を抱いた。 『…俺は、先輩を、どう見てる…?』 天井を見定める武人の脳裏に、すっと一つの答えが浮かんだが、武人はその答えをすぐに否定した。 何かの間違いだ、と武人は自分の心に言い聞かせて、自分の液でぐちゃぐちゃの下着を持って洗面所に向かった。 洗面所で件の下着を洗っていると、背後から声をかけられた。 「おーっす、武人。今日はランニングいかないのかー。」 父親の建造だった。建造は一般的なサラリーマンで、勤め先が少々遠い為にいつもこのくらいの時間には出勤している。 武人は特にびっくりするでもなく「おはよー。んー、今日はそれどころじゃ無いんだよねー。」と振り向きもせずに言った。 「んー?お前何洗ってんだ?」 「パンツ。」 「なんだ、お前高校二年にもなって夢精か!ちゃんと毎日やらねぇからだぞ!」 「うるせー。」 「…んでどんな夢だ!?香奈ちゃんか??」 「ちげーよ!!…もう、さっさと会社行け!」 「なんだとー?全く、父さんに言う台詞かよぉ…。」 とかなんとかぶつぶつ言いながら建造はようやくキッチンに向かって行った。 「ったく、父親が言う台詞かっつうの。」 武人はひとしきり洗い終えたその下着を、洗濯機の中にほうり込んだ。そしてまた自室に引き返した。 その途中、『香奈ちゃんか??』という建造の言葉を思い出した。そしてしばらく考えて、「普通、そうだよな。」と、小さくぼやいた。 COPYRIGHT © 2009-2024 one. ALL RIGHTS RESERVED.
作者 one さんのコメント 流石に二ヶ月近く放置してたので、もう一つくらい、ということで…。いきなり性表現に走り、しかも夕の人格を丸々ぶっ壊してしまいましたが、楽しかったので良しとしましょう。。 第4章、次号からも主人公は武人ですけど、前半は違う人物にスポットが当たります。あくまで武人主体で、ですが。 それでは。 |