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水色の太陽 第4章『覚醒』二


記事No.109  -  投稿者 : one  -  2009/08/04(火)23:50  -  [編集]
家を出てからずっと、今朝の夢の事が頭から離れない。電車に揺られながら、武人はずっと考えていた。あの夢の内容は武人にとってとても奇異なものだ。自分が男である夕と体を重ねる夢を見るなんて、どんな脳内環境してるんだと自分を疑いたくなる。しかもそんな夢で有り得ない程射精してしまっているのは、一体どういうことだ。
『…まさか…、俺って、ホモ…。』
そう思ったらさーっと血の気が引いて行った。一人で頭を抱えて悶えていたら、目の前で携帯電話を触っていた香奈に「何してんの?」と突っ込まれた。武人は慌てて「いや、なんでもないっす。」とはぐらかした。香奈は怪訝に武人を見遣ると、「あ、そう。」と言ってまた携帯電話に視線を落とす。
それを見て武人は安心した。相手が香奈といえどもちょっとこれは相談出来ない。ヘビー過ぎる。
とは言っても、武人は自分が同性に興味があるとは露にも思えないのだ。
いままで散々女性で自慰をしてきたし、隣に立っている男子を見ても何も感じない。むしろ気持ち悪く感じる。
しかし夕はどうだ?確かに最近は夕の事ばかり考えていて、夕はかっこよくて綺麗でかわいい…なんて思う。気持ち悪いなんて全く思わない。
実は初めて彼の自宅に行った時、雨に濡れて服を脱いだ夕の身体にくぎづけになってしまったのを覚えている。
あの時は単にその鍛えられた肉体に感動しただけだと思ったが、今思えばそれは違うのではないか。そんな気がする。なんだか、夕の筋肉質なのに細い腰のくびれや、コンパクトで硬そうな胸板の中にある小さな乳首、八つに割れた腹筋のライン、そしてそのラインの下端…。そう思った瞬間武人の脳裏に今朝の夢の中の夕がフラッシュバックした。
恍惚とした表情で自分を誘って来た夕。めちゃくちゃにエロかった…。そして天を指す雄の性器。本来なら願い下げだが、夕のそれには恐ろしく興奮した。極めつけは、夕の中。あの感触が未だに生々しく残っている…。武人はまた自分の下半に熱が集まるのを感じた。
『まずい…』
ここは登校中の電車の中で、目の前には香奈が座っている。しかももう寸分と待たずに目的地に着いてしまう。嫌な汗が滲んで来た。さりげなくエナメルバックを膝に置いて、別の事を考える。最近習ったばかりの公式とか今週一杯の晩御飯のメニューとか、いろいろ思い浮かべて見るが、そうすればそうするほど『あの事』が頭に浮かんで来てますますそれは体積を増して行く。
『まずいまずいまずい…!!治まれ〜、治まれ〜!』
心の中で叫ぶが、効果は無い。こういう時に限ってそういうものは治らないのが世の常なのだ。
ふと香奈を見たら、すごい目で武人を見ていた。
「…どうしたの?なんかそわそわしてるけど…、トイレ?」
「…え!?いや!なんでもない!なんでもないです。ハイ。」
そうこうしていたら駅に着いてしまった。
…どうしよう…。


「ねぇ、なんか今日特に変じゃない?なんか目泳いでるし、てゆうか、バッグいつもそんな担ぎ方してたっけ?…歩き難そうだけど。」
電車を降りて学校に向かう道中、香奈は奇怪なものでも見るような目でそう言った。それもそのはずで、その武人のバッグの担ぎ方は明らかに不自然だ。
「いや、いつも通りだって!たまにはエナメル前に担ぎたい時もあるよ!うん。なんか、あれだ。駅弁売ってる人の気持ちになれるんだよ!」
ぼすぼすと、歩く度にエナメルバッグが前に出す足に当たって歩きにくい。
しかしこれを後ろに回す訳にはいかなかった。なんせそれで隠さない事には股間のテントがまる見えになってしまう。
今朝あんなに出ていたにも関わらず武人のそれは全く衰えておらず、むしろ今自分で言った「駅弁」と言う言葉にも変な妄想をしてしまいあられもない状況だった。
「…変なの。まぁいいけど。てか歩くの遅いよ。」
武人は「アハハ…。」と笑うしかなかった。


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作者  one  さんのコメント
タイトル付け忘れてた…。
一を編集したかったのにパスワードが何故か違って編集出来なかったので二に付けました。

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