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俺だけすっぱだか!? 6


記事No.21  -  投稿者 : XSAL  -  2008/11/26(水)01:39  -  [編集]
「だから、今さら隠したって仕方ないって、言ってるだろう。」
後藤が小馬鹿にしたように嘲り笑う。
「こんなこと、事務所が本当に了解しているんですか!?」
俺は、周囲をとり囲むスタッフのどの角度からも見えないよう、注意深く股間を両手で隠しながら、後藤を問いつめた。

「もちろん、了解したから、君がこうしてここにいる。高橋さんからも『いい作品を作って下さい』と頼まれてたよ。」
「うそだ!? 高橋さんが、俺をこんな目に合わすわけない!!」
高橋さんの朗らかな笑顔が、俺の脳裏を横切り、せつなくなる。

「往生際の悪い奴だな。もうお前は、全てを剥ぎ取られて、俺たちに従うしかないんだよ。それとも、その格好のまま、ここから逃げ出すか?」
「服を返して下さい!!」
「それはできないな。撮影が終わるまで一週間、お前は一糸たりとも、体に布をまとうことは許さない」
何…!? こいつ、何を言っているんだ!?

「良平さんの服なら、私が預かってますよ。」
突然、後藤の背後から小道具の小林が口を挟む。
「お、お前…!?」
こともあろうに、小林が今着ている服は、今朝まで俺が身にまとっていたパーカー、白いシャツ、チノパンではないか!?
「良平さんに服を着ることを諦めてもらうように、撮影が終わるまで私がこうして良平さんの服を預かっていますからね。
しかし、良平さん、いい物を着てますね。シャツは柔らかいし、ブリーフも肌触りがとてもいいです。」
…!? こいつは、俺のブリーフまで履いているのか!?
「お前ら、変態じゃないのか!?」  
俺は、半ば恐怖を感じながら、さけび声をあげた。

「良平くん。今の君に必要なのは、日常性からの脱皮なんだ。君がこれから演じるのは、幼い頃から、
丸裸のまま狼に育てられた野生の少年。それになりきってもらうためには、撮影期間中もずっと、狼少年の姿のまま、
過ごしてもらうことが必要なんだ。」
後藤が再び、語り出す。

「服を返せってば!!」

今の俺にはすでに、後藤のごたくに耳を貸す余裕などなかった。
アイドルの俺が、ひとりだけ体の全ての肌を周囲に晒しているこの屈辱的な状況には耐えられない。
一刻も早く何かを体に纏いたい。
俺は、自分の服をちゃっかりと着込んでいる小林につかみかかり、パーカーを奪回しようとした。
が、他のスタッフにすぐに羽交い締めにされ、俺は両足を大きくおっぴろげた体勢で、芝生の上に投げ出された。

「だから、無駄だって言っているだろう。すっぱだかの今の君に何ができるんだ。
ほらほら、そんなに暴れるから、股間の果実だけじゃなく、尻の穴までまる見えだぞ。」
「そうですよ。良平さん、サービスよすぎ。」
「でも、早くも狼少年になり始めてるってことかもね。」
「やっぱり撮影前から、すっぱだかに剥いておいたのは大正解だったね。」

周りのスタッフが口々に俺を嘲り笑う。
その一言一言が、次第に俺から、抵抗する気力を奪っていった。

「ようやく自分の置かれている立場を理解したようだね。よしよし。ワイルドになるのは、撮影の時だけでいい。
ただ、裸でいることを恥ずかしがる気持ちは、早く捨ててほしい。」
後藤は、諭すように言った。
「無理です…。」
「そうか…。では、これから、その訓練を始めよう。いちいち恥ずかしがっていたり、股間を隠したりしていては、
撮影が滞るから、な。さあ、来い!!」

後藤は、俺の手を強く引くと、庭園の端に止めてある駐車場に向かって、歩き出した。



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