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酔いの醒めた頃 =6= end
記事No.31 - 投稿者 : 浩二 - 2009/01/07(水)20:22 - [編集]
「本当のことを教えてください・・・。」 静かに言葉を紡ぐ。 「あなたを誘ったのは・・・本当に俺なんですか?」 一番聞きたかったこと。 セックス中はそんなことどうでもよくなっていたのだが、本当に聞かなければならない事実。 このホテルに誘い、野上とセックスをする・・・それは自分が立てた計画なのか・・・ 「・・・まったく・・・君はまだ思い出せないか・・・」 「・・・?」 俺は野上の指すその“思い出せない記憶”が、数時間前――俺と野上の肉体的関係をつくる理由となった場面のことだと思った。 だが・・・それは違った。 野上の指す、本当の“思い出せない記憶” それは、ほんの数時間前という短い時間ではなく、もっと・・・もっと―― もっと昔の記憶だということを知るのは、ほんの数分後のことである。 「実際、誘ったのは君だ。」 「!!」 俺は目を見開いた。 「え?」 「嘘さ。」 「!!!!」 「君を誘ったのは私だ。」 「お前・・・ッッ!!!」 俺は思わず立ち上がる。 「だが君は嫌がったわけでもなければ、素直に私を受け入れた・・・。」 「ッ」 そうだ。俺は――彼を受け入れた。 彼を求めた。 彼を・・・愛した。 「いい加減思い出せ。」 野上が立ち上がり、俺の肩を掴む。 「お前の中には、消えた記憶がある」 「!!!」 ――なぜこの男はそれを知っている? 俺は・・・俺の記憶は・・・一部が曖昧になっているのだ。 16歳後半から・・・17歳前半までの約一年の記憶。 俺にはその部分の記憶が、スッポリと抜け落ちている。 なぜ俺に消えた記憶があることをこいつは知っている?!! 「お前・・・!!俺の何を・・・」 「私はすべてを見ていたわけではないが、すべてを見ていた人物なら知ってるぞ。」 「ッ?・・・俺のすべてを見ていたヤツ?」 「思い出せ。お前はショックで忘れているだけだ。」 「ショックって・・・え?忘れてる?何を・・・?ッッ?」 俺は混乱した。 16歳後半から17歳前半まで―― 俺は・・・修学旅行が楽しみで・・・ 「!」 その修学旅行の計画は最低で・・・ 「!!」 俺は誰かに出会った・・・ 「!!!」 そいつは俺を・・・ 「ぁッ・・・あぁああ!!!うあぁああっ!」 俺は悲鳴を上げ、気を失った。 夢を見た―― 長い 長い 夢 苦痛の日々 その始まりは――― 『酔いの醒めた頃』 完 『愛を知る頃』に続く COPYRIGHT © 2009-2024 浩二. ALL RIGHTS RESERVED.
作者 浩二 さんのコメント こんにちはこの『酔いの醒めた頃』は、お気付きのとおり・・・ 僕の妄想の産物です ですが、松岡や野上の容姿・行動をうまく描写することができませんでした・・・ まぁ、その辺は皆様の妄想力(?)で補っていただければ幸いです 今回で最終話(は言い過ぎ)でしたが、・・・自分でもなんかワケがわかりません ですが、とにかく・・・続きます(ぇ もう少しお付き合い願えればうれしいです。 よろしくおねがいします |