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愛を知る頃 #02
記事No.33 - 投稿者 : 浩二 - 2009/01/08(木)13:57 - [編集]
そんなアホらしい会話をしながら食事を始めると、俺の後ろの席に誰かが座るのを感じた。 どうやら俺と背中を合わせて座っているようで、カチャカチャとフォークの音がする。 「・・・」 俺は大して何も考えずに後ろを振り返る。 そこには大きいとも小さいともいえない普通体型の男性の後姿があり、黒いスーツを身をまとっている。 「・・・」 またしても俺は大して何も考えずに食事を続けた。 大体食べ終わりそうなころ、俺は“いつも”の話を始めた。 「なぁなぁ!『ラブ・アジェロ』見たか?!」 俺の大好きな映画『ラブ・アジェロ』 「またその話かよ・・・。だから見てねぇって」 「ったく、浩二はホントに『ラブ・アジェロ』好きだよな〜」 「うん!大好き」 子供のように目を輝かせた俺を、自分でも恥ずかしいと思った。 俺がそう考えている瞬間、後ろでガチャン!と一際大きな音がなった。 俺は少し気になったが軽く無視し、話を続ける。 「昨日さぁ、ラブジェロの3をまた見直したんだよ!!そしたらさー・・・」 そこで肩を強く握られた。 「んぉッ」 すばやく振り返る。そこには、無精髭を生やした一人の男性が目を輝かせてこちらを凝視している。 「・・・え?」 「き、君!『ラブ・アンジェロ』が好きなのかい?!!」 なんとなく素敵な声でそう声を上げる20代後半頃に見える男性。 「え、ええ・・・はい。好きです・・・ケド?」 俺は、今も俺の肩をつかみ続ける男の手を見る。その手はスラリとしているがたくましく、顔と同じく日に焼けている。 「お、俺も好きなんだ!!ラブジェロ!!!」 俺は思わず男性の手を握る。強く、強く。 「マジッスか!!」 「マジッス!!!」 「あ。なんか変な同盟結んじゃったよ?」 「いーよ。ほっとけほっとけ」 「ねぇ誰かニンジン食べなーい?」 俺は友人のテーブルから男性のテーブルへと席を移し、そこで語る。 「そうそう!2ではあのシーンが一番なんスよねー!」 「でもオープニングのあの迫力もいいんだよ!」 「ぉおーよく分かってますね!俺、ラブジェロについてこんなに語り合ったの初めてッスよ」 「俺もだよ。周りの友達はみんな誰も観てなくて・・・」 「そーぉ!皆見る目が無いンスよねー!」 「うんうん」 「ぇ、なんか俺たちのこと言ってね?」 「いーよ。ほっとけほっとけ」 「おーぅい、ニ・ン・ジ・ン!食べませんか?」 この男性の名前は福崎利樹。26歳会社員だそうだ。 友人へ会いにアメリカに行くそうなのだが、どうやら一緒に行くはずだった友達はドタキャンしたらしい。 「おかげで部屋も広すぎて・・・;;」 「アハハ」 何か前のほうで教師が大声で皆に叫んでいるが、俺はそれを普通に無視して福崎さんとの話しにのめりこんだ。 福崎さんについての話から、再び『ラブ・アンジェロ』の話の戻ると、俺たちはもっとヒートアップしていった。 「「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」」」 俺の高校の生徒たちがなにやら一斉に声を上げる。 だが無視!!!俺は話し続ける。 COPYRIGHT © 2009-2024 浩二. ALL RIGHTS RESERVED.
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