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愛を知る頃 #03


記事No.34  -  投稿者 : 浩二  -  2009/01/08(木)14:00  -  [編集]


話にひと段落ついた頃・・・
「そうだ、浩二くん!この後何か予定はあるのかな?」
「えっと・・・夕食までは自由だと思います。」
「そっか。じゃあ、良かったら俺の部屋に来て『ラブ・アンジェロ』上映会をしないか?」
この船の大半はDVDレコーダー備え付け。だが俺たちの学校ではDVD自体禁止され、あっても意味なし。まぁ、AVを持ってきている生徒もいると思うが。
「おおお!いいッスね!じゃあ、後で行きますんで、部屋教えてください」
「うん。2階のB-33号室だよ」
「分かりましたー!」
俺はいつの間にかレストランから学校の生徒がほとんどいなくなっていることに気づき、あわてて友人に声をかける。
「おい!この後自由だよな?」
「おお、そうだぜー!それにしてもうれしいな!!!」
「え?」
俺は、友人のその言葉を、『話の合う人がいて』というコトだと汲み取り、
「ああ!」
大きく声を上げた。

そのとき、友人に詳しく話を聞いていれば、あんな悲劇にはならなかっただろう・・・
俺は馬鹿だった

「フンフン〜フフン♪」
鼻歌を歌いながら、俺は片手に持ったチョコをみつめた。
「ふふふ」
部屋で友人と食べようと思っていたチョコレート。
――まさか『ラブ・アンジェロ』を見ながら食べることになるとはぁぁあ!!!
今俺は福崎さんの部屋へと向かっている。
「んぉお?」
ドアに『33』と書かれた部屋を見つけ、そのドアにノックをした。
「もっしもーし。福崎さぁーん?俺でーす。松岡ッスー」
なんとなく頭の悪い挨拶だと思いながらノックをつづける。
「お、はーい!」
部屋の中から返事が聞こえ、鍵を開ける音が聞こえたかと思うと、ドアが開いた。
「いらっしゃ〜い」
「ども」

部屋に入り、ソファに座り、テレビに映し出される映画に見入る。
途中、福崎さんは「汗を掻いたからシャワーを浴びてくる」といってシャワー室へ入った。
シリーズ一作目の中盤に差し掛かった頃、福崎さんがシャワー室から出てきた。
「あ、おかえりなさ・・・・・・」
俺は少しだけ言葉を失った。
初めて・・・バスローブを着る人を見た。
(うっわぁー・・・リアルで居るんだ。)
そんな感想を心にしまいこみ、画面に目を移す。
「やっぱり面白いねー」
福崎さんは言うと、ソファに座って、いつの間にか手に入れた缶ビールを飲み始める。
(夜でもないのにバスローブって着るものなのかな?)
俺はなぜかバスローブが頭から離れない。
「このシーン好き!」
福崎さんが叫んだ。
俺は思わず、「俺も!!」と叫んだ。・・・別に好きじゃないケド、、、
「あ、そうだ・・・!ごめん」
「え?」
なんだか謝られたので、俺は『帰って』といわれるかと思った。
が、
「気が効かなかったな!なに飲む?・・・って、水しかないけど」
福崎さんは冷蔵庫から出したペットボトルの水をコップに注ぎ、俺のところまで運んでくる。
「ゴメンなー。未成年のお客様がくるとは思ってなかったから水とアルコールしか無ぇや」
「あ、いえ。お構いな・・・く・・・?」

そこで、福崎さんの薄い唇の端が少しだけ吊り上ったのが気になった・・・。


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