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ゲイじゃあ無かったはずが 10


記事No.205  -  投稿者 : 鬼島  -  2015/01/05(月)13:57  -  [編集]
ゆっくりとした食事を済ませると拓海さんは微笑んだ。
俺「美味しかった!」
拓海「ほら、口に付いてるぞ」
拓海さんが口に付いた物をすっと指で取ると舐めてた。
拓海「ちょっと飲みに行く?」
俺「bar?」
拓海「barだけど、仲間が集まるbarがあるんだ」
俺「仲間?」
拓海「ゲイとかビアンが」
俺「良く行ってた?」
拓海「ちょくちょくな。今日が最後になるから顔を出しとかなきゃな!」
俺「そうだよね!でも俺、そんな所は初めて行く!」
拓海「そっか、でも大丈夫!」
俺「そこはマークスと行ってたの?」
拓海「いや、いつも1人だったけど?」
俺「そうなんだ」
店を出て拓海さんが時々行ってたと言うbarに向かった。
途中、俺は何気に拓海さんの手を握った。
日本ではこんな事は堂々と出来ない。旅の恥はかき捨てろ!今しか無いなと思った。
拓海さんは強く握り返してくれ、barまで手を繋いで歩いた。
裏路地を入った所にある、小さな看板だけが目印の店だった。
店の中に入ると、ゲイカップルやビアンのカップルなのか?様々なカップルと、1人で飲んでる感じの人も居た。
カウンターに行き座ると拓海さんと店員が話を始めた。
拓海「彼はスティーブ。えっとこの彼は勝也。」
スティーブ「勝也?えっ、勝也って日本に居る勝也?」
拓海「来てくれたんだ!」
スティーブ「えっ、てっ事は付き合いまた始まった?」
拓海「yes!そうだよ。それだけじゃ無いんだ。今〇〇の教会で結婚式して来た!」
スティーブ「マジで!それ本当に?」
拓海「本当にだ!」
スティーブ「おめでとう!そりゃ凄い!おめでとう、おめでとう!」
スティーブの声に皆が一斉に振り向いた。
スティーブ「騒いでごめんなさい。実は彼ら今〇〇で結婚式して来たんだ!」
スティーブが皆にそう言うと、次々にあちらこちらから「おめでとう!」と言われた。
拓海さんと顔見知りなのか、数人がグラスを持って来て、拓海さんと乾杯して居た。更に俺にも乾杯だ。
ふたりだけの披露宴では無かった。店に居たお客さん、皆さんが俺たちの結婚を祝福してくれた。
お客さん「ここでもふたりの誓いを披露しろ!」
そう言って声をあげた人が居た。拓海さんは笑顔で「わかった!」と言った。
拓海さんは俺を皆さんの前で抱きしめるとキスをした。
ヒューヒューと指笛や拍手だ。
舌を絡ませながらの長いキスだった。
キスを終えると拓海さんは両手を挙げ「幸せだ!これからもっと幸せになるから!皆、ありがとう!」そう言った。
ようやく落ち着くと拓海さんはスティーブにこの3日間の事を話した。
スティーブは大変驚いていた。
スティーブ「拓海は此処へ来て、いつも勝也の話をしていたんだ。勝也に会いたいって言ってたんだ。」
そうスティーブは言った。
マークスとは付き合うなとも言われてた様だ。
此処へ来る度に、日本に置いて来た様になった俺の話をし、俺の色んな話をしながら思い出し、飲みながら愚痴を溢してたと言った。忘れないといけない、勝也の為にも忘れないといけない、拓海さんは此処でそう言ってたとスティーブは言った。
スティーブ「拓海が言ってた通りの可愛い子だな!大切にしろよ!」
拓海「もう離さない!」
スティーブ「じゃあ勝也もこっちで生活するのか?」
拓海「いや、俺は日本に帰る」
スティーブ「えっ!本当か?」
拓海「ああ、明後日帰る!」
スティーブ「バスケットは?」
拓海さんはチームの事やマークスの事を話した。
スティーブ「マークスはスタープレイヤーだからな、仕方無い事だが残念だ!」
拓海「また遊びに来る。此処は俺たちが誓いあった場所だ。」
スティーブ「今日と言う日は拓海と勝也の記念すべき日だ、毎年でも記念日に教会へ行き、必ず此処へ来い!」
拓海「ありがとう!そうだな、必ず此処へ来るよ!」
スティーブ「明日の夜はどこにいる?」
拓海「〇〇ホテルだ。明後日の午後のフライトだ!」
スティーブ「明日、7時に来れないか?」
拓海「店にか?」
スティーブ「ああ、帰る前にもう一度来てくれないか?」
拓海「構わないが?」
スティーブ「せっかく俺たちは友になったんだろ!今日だけで別れるのは辛い!お前のファンだって居るんだ、声を掛けてやりたいんだ!」
拓海「スティーブ、ありがとう。そうだよな、お礼をしとかなきゃな!」
スティーブ「そうだぞ!」
翌日、再び店を訪れる事となった。
皆に祝福された余韻はいつまでも俺の心に響いてた。
俺「日本では味わう事は出来なかった、すごく良かった!」
拓海「日本のゲイbarでも祝ってはくれるだろうが、こっちの様にオープンに祝ってはくれないだろうな!」
俺「最高のプレゼントだったなー!」
拓海「そうだな!」
俺「一応、、、今晩は初夜何だけど?」
拓海「そうだけどどうした?」
俺「どうしたって?そのー」
拓海「ははは、ここはちゃんと試合終えてだな!」
拓海さんは俺のケツを撫でながら言った。
俺「あーあ、お預けかー!」
拓海「今は無理する事は無いだろ!」
俺「はいはい!」
拓海「しかし元気だよな!」
俺「当然だよ!愛する人に抱きしめられてんだから!」
拓海「じゃあこっちで遊ばせてもらう!」
拓海さんはチンコたっぷりいじってくれた。
お互いのチンコを握りあったままで眠りに付いた。
早速に病院に行った。拓海さんの頭は縫うと言うより接着剤的な治療だった様だ。ガーゼも更に小さくなったが、俺の方は経過は良いとは言われたが、当分はセックス行為はダメと言われた。
日本で治療が出来る様にと書類を書いてくれた。
俺「あーあ、またお預け!」
拓海「試合もあるんだからな」
俺のコーチ復活!拓海さんの頭の中にはバスケ?それとも俺?そんな感じだ。
観光と言う観光をして無かった。いくつかの観光名所を回った。
回って見て思ったが、海外から日本観光に来て、また来たいって言われる方々が多い意味がわかった感じもした。雄大な景色は良いけど何れも似たような、、、
だけど、拓海さんと一緒なら何でも、何処でも良い。観光よりその街並みや風景の中を一緒に歩くだけで、何かを特別に見なくても幸せ。
一番はやはりゲイタウン的な所が最高でした。
カフェではゲイやビアンが堂々とまったり過ごしてる。
指を絡ませながらお茶をしてたり、イチャイチャまったりを人目を気にせず出来てる事が印象的だった。
今までの様な遠慮は無かった。
席に座ると拓海さんに手を握られた。珈琲とバーガーとケーキを注文。
1つのバーガーを交互に食べ、ケーキは食べさせてくれたり、日本じゃあふたりっきりでないとなかなか出来ない事をたっぷり、堂々とやってた。
バーガー食べて拓海さんの口に付いたソースをペロッと舐めてあげたり、時々にキスしたり、此処でしか味わう事が出来ない、そんな時間を満喫してました。
ふたりっきりなら幾らでも出来る事なんだけど、せっかく出来る所に居るんだから、俺はどんな観光より印象に残した。
記念日の度にまた来たい!
必ずまた来て、1年に1度だけでも堂々とした結婚したカップルでありたいと思った。
そして、スティーブと約束した時間にbarに行った。
barの前にスティーブが立ってた。
スティーブ「ようこそ!」
ドアを開けてくれ中に入るといきなりクラッカーがパンパンパン鳴った。
スティーブ「急だったから大したこと出来て無いけど、結婚祝と送別会だ!」
店にはこの店で拓海さんが出会った人が30人は居ただろうか?
アメリカ人だけで無く、アジア系の人たちも来てた。
日本人?と思ったが台北って言ってた。
台北の彼「相手が居なかったら俺がって思ってたんだ!」
結構みんなストレートに言う。
でもみんなさっぱりしてると言うのか?
スティーブ「ケーキも用意してあるぞ!」
拓海さんと俺とでナイフを握りケーキカットもした。
「ケーキカットだけか?」
フォークを持って来てくれ食べさせ合う。
「クリーム口に付いてるぞ!」
拓海さんは照れながら手で取ろうとした。
「何で手なんだ!」
周囲の言葉に拓海さんは唇を近付け舐めてくれた。
そしてそのままキス!口の中のケーキが拓海さんに移る。
拓海「みんな、ありがとう!」
スティーブ「拓海、必ず来年も勝也と来いよ!みんな拓海が来るの待ってるからな!」
みんなからのプレゼントもあった。
スティーブ「これは俺からだ!ここに置いておく、毎年ここへ飲みに来い!」
拓海さんと俺の写真をラベルにしてくれてるバーボンだった。
これが別れじゃない!始まり何だからと皆がそう言ってた。
何度キスをしただろう、数えきれないほど拓海さんと数時間でキスをした。
すごく心のこもったパーティーを開いてくれた。
拓海さんも泣いてた。俺も泣いた。
拓海さんはこの1年半、異国の地でこんなに友達を作ったんだと思ったら、拓海さんを独占出来た俺は感謝しないといけないと思った。
最後の夜、急な事なのに、祝、送られるこのパーティーは一生の思い出だ。
パーティーを終えホテルに帰ると、俺は拓海さんに感謝した。
俺「拓海さんを独占出来た。拓海さんすごい人気者、その拓海さんを独占したんだよね」
拓海「ここへ来て、唯一俺が俺で居れる場所、そしてメンバーだった。まさかあんなに集まってくれてるとはな。仲間にあんなに祝福してもらえて幸せだな。勝也の一言がなかったらこんなに素晴らしい思い出が出来なかった。礼を言うのは俺の方だ。勝也、本当にありがとう。また必ず来ような!毎年来て、熱々ぶりを見せ付けてやろうな!」
俺「良いねー!1年に1度、日本じゃ出来ない事をしに来よう!来年までならバイトしてコツコツ貯めれば良いね!」
拓海「そうだな、慰謝料は貯蓄だよな!」
俺「そうだった、それがあった!」
拓海「これからの俺たちの家も準備しないと!」
俺「はーい!」
肉体までしっかり結ばれるのはここでは叶わなかったが、心の満足は沢山味わい、人との結びはしっかり感じる事が出来た。
スティーブや数名の仲間がホテルを出発する時に見送りに来てくれた。
ハグと握手、必ずまた来ると誓い合い空港に向かった。
1週間も日本を離れて無かったのに、ずいぶんと長く居たような気がした。
時々にしか手を握ることしか出来ない機内、フライト中が更に長く感じたのも確かだ。
そしていよいよ日本での生活が始まる。
拓海さんは2年休学となり、大学は異なるが俺と同じ3年となった。大学の部活では活動は出来ず、拓海さんは一般のアマチュアチームでバスケを始めた。
お互いの大学の真ん中辺りに小さな部屋を借りた。
帰って来てからの一番の問題は、ゲイであり俺たちは一緒になった事のカミングアウトだ。
俺の親も拓海さんの事は良く知ってる。家に招いた事もある。
俺は、拓海さんの所へ泊まり、飯も食い、拓海さんのご両親も良く知ってる。
しかし、拓海さんも俺も家族にはゲイである事をカミングアウトしてない。
拓海「俺は伝えるつもりだ。家は姉貴が継げば良いと思ってる。姉貴の旦那も社員として働いてるからな!既に孫も居るしベタベタだ。義兄さんの為にも俺が出て行く方が良い!」
俺「そっか、拓海さんがそう思うなら俺も言う。弟居るし大丈夫だろう!」
拓海さんがカミングアウトする時に俺も行こうと思ったが、とりあえず拓海さんは1人で行くと言った。
俺も試合があり身動きつけなかったのもあった。
ずっと気になってた。気になってしまい、ミスの連発だった。
コーチからチェンジを言われ控えに回った。
会場に拓海さんの姿が見えた。
どうだったのか?
試合が終わり拓海さんとやっと会えた。
拓海「どうして控えに居たんだ!」
俺「だって気になって!」
拓海「そんなこと気にするより相手の動きだろ!」
俺「仕方ないだろ、どうなったか心配だろ!」
拓海「今日は仕方ない、次はどんな事があっても集中しろよ!」
俺「で、どうなった?」
拓海「ああ、すごくがっかりはしてた。そんな風に育ててしまったのかってね。ただ相手が勝也だった事はホッとしてた。ずっと一緒に練習してたからな。ゲイの理解より、勝也とずっと頑張ってたから愛が芽生えたって感じには受け止めてる!」

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