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小説の様な実話(完)


記事No.250  -  投稿者 : 憲太郎  -  2015/07/04(土)07:26  -  [編集]
親子の生活が始まり、陵介もそれなりに俺に気を使う事をしてた。しかし、不本意と言うのか?、俺から見れば、まぁ実際を知ると誰もがなるほど、それは当然だと思うが、本人に取っては不本意だ。どうしてこんな所へと思って居るそんな感じもした。
俺に恩もしっかり感じてる。最初に一緒に暮らし始めた時の無邪気とも思える陵介の表情が無い。
時折には見せるが、しかし表情は硬い。
クレジット会社からの催促の電話、月々払わないといけない年金や保険も、何もかも全てが払われて無い。
しかも何かの時様にと渡してたカード会社から、10数万の請求書が届く。
連れて来て良かったと思いながら返済を考える。
一社は少ないが複数社。
其所へ俺の携帯に登録の無い着信。出てみると女だった。
話を聞くと陵介の友達と言う。
調べに調べ、ようやく俺の事を、陵介の男友達から聞き、陵介にも連絡をして番号を知った様だ。
陵介とは何も無いと言うが、どうもおかしい。
その女から様々な話が出てきた。聞けば聞くほど情けなくなった。陵介は俺の所へ来る事を誰にも言って無い。ただ、仕事でしばらく俺の住む街に行く事になった、直ぐに帰ると言って出てる。
しかし、俺が借りてやってた部屋はもぬけの殻。
それで周囲は慌てたのだ。
女「どうしてそっちへ?」
俺「どうしてって関係無いだろ。俺は陵介の親代わりとして、陵介の行動にみかねて連れて来た」
女「ひどい!」
俺「ひどい?仕方ないこと、それで何が言いたいの?」
女から話を聞くと、陵介は女に金を借りても居た。しかも性行為も数回あると言う。
陵介は自分の事を、プログラマーで自分でプログラムを作り売ってると言ってた。
結局は陵介はこの数ヶ月、女も騙し俺も騙す事をして居た。
俺が行く時には俺に甘え、居ないときには女の紐になってた。
女も怪しんだ。俺の存在に気付いたと言う。
やたらと俺に気を使う陵介に怒ったとも言った。
俺の存在に嫉妬をしたのだ。
最初は別の女、本命の女が居るのだろうと思ったらしい。
陵介の俺に対する気遣いは半端じゃなかった様だ。
金を貸し、遊ばれた女の悲痛な声。聞けば20万貸してると言う。
陵介がゲイビに出てる事は、噂にはなってた事は以前から聞いては居た。隠れゲイだった友達から言われた事も陵介から聞いてた。
その女は陵介の友達からも聞き出し、ゲイの疑いも持ってた。
俺は常に陵介の親代わりとして対応した。
女は俺に対する嫉妬。連れ去った悪魔の様に思ってる。
女は陵介の事を自分が一番知ってる様に言って来た。
ゲイビの事やら売りの事もだ。
どうやら、ニチョの関係者も知ってる様で、其所からも何をする場所かも聞いてた。
俺は全て知った上で陵介を見てる事も伝えた。
何を言っても動じない俺に、女は最終手段を切り出す。男と女だから二人の問題と言う。
俺はそうですか?それなら支払いも宜しくお願いします。
至急必要な金額を言い、それが準備出来たら陵介を荷物ごと送ると言った。
考えさせてくれと言う。
考える暇など無い!至急必要な金と電話を切った。
深夜近くになってた。
ゲームを夢中でしてる陵介の胸ぐらを掴んだ。
どうしたのと言う表情の陵介。
殴ってやりたい思いを抑え、電話の全てを話した。
責任も持てないのに、嘘をついて自分の都合の良いようにやって来た事を俺は言った。
陵介の俺に対する気持ちはわかってる。だから俺に気を使い、女に誤解をされて、嫉妬に発展したのだ。
俺「女が良いなら、そうしてやったのに。部屋を維持する必要も無かった。」
陵介は何も言えなかった。
初めてだろう、陵介と向かい合って徹底的に話をした。
陵介は突然号泣!身体中を震わせ号泣した。
このまま倒れるのではないかと言う位に、過呼吸が始まる。
抱きしめてやると、俺の肩で更に号泣した。
どのくらいの時間だったか?外は明るくなり始めてた。
陵介は俺に嘘をついた、嘘をついたらまた嘘を重ね無いといけなく、でも、俺からは離れたくなかった。肉体関係とかでは無いにしろ、俺とはずっと一緒に居たい。
そして逃げてた事も気付いた。
捨てられた親に、陵介は立ち向かう事もしてなかった。
陵介は胸詰まった全てを吐き出した。
そして、其までの表情とは全く違う顔をした。
出会った頃の陵介に戻った。
債務処理の手続きをし、陵介は俺を親として受け入れた。
養子縁組をする事にもなって行く。
陵介「親父の背中を見た気がする。俺どうにかしてた。今までが夢の様だ。何してたんだ。」
陵介は朝日を見つめてた。
俺「どうした?」
陵介「こんなにきれいなんだ!すごいね。」
俺「お前の顔もな!」
陵介「えっ?」
陵介は慌てて鏡を見る。
陵介「ホントだ、俺こんな顔をしてたっけ?」
俺「ああ、お前と出会った頃の顔だ。」
陵介「こんなに変われるんだ」
俺「そうだな、全てを吐き出し、気付いた時に楽になる。」
陵介「すごいね!ホント全然違う。身体も軽いよ。」
陵介は目を覚ました。ずっと止まったままの心が動き始めた。
陵介「なんか5年は一緒に居る気がする。」
俺「そっか、色々あったからな。」
陵介「ホントに色々やらかしてたんだね。」
俺「そうだよ、さてどう片付けるかだな。」
陵介「ありがとう。」
俺「一生一緒なんだろ!」
陵介「そうだよ。」
陵介はバイトを始めた。少しずつでも返せる様にし始めた。
そして、俺からのハグを拒まなくなった。
話は完だが、俺と陵介の関係はこれからが本当の始まり。
長々ありがとうございました。

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