新規投稿 一覧表示 評価順表示 過去ログ

小説の様な実話 完結


記事No.256  -  投稿者 : 憲太郎  -  2015/09/10(木)23:04  -  [編集]
官能小説で無いことを先ずお詫びいたします。
俺と陵介の愛は凄く重いものかと思いますが、大切な事でもあるので書かせて下さい。陵介の様に苦しんで来てる人が必ず居ると思う。苦しんでる人に読んで頂けたらと思う。
陵介は両親に愛されず育った。
特に引き取った母親に取って陵介は人形だった。容姿の整った陵介は人形の様に可愛がった。
愛されずと言うのは可笑しいか?。しかし我が子を愛する親の愛情では無かった。
陵介も思春期を迎える、思うようにならない。母親は自分の思うようにならない陵介を捨てた。
しかも、別れた夫の責任にして。それがはっきりとした。陵介が求めてたのは、得ることの出来なかった愛情だと。
母親は陵介を着飾らせ、人形の様に育てて来た。イケメンと言うより陵介は美貌と言う言葉が適してる。綺麗な顔をしてる。
陵介は母親に捨てられ、祖母に引き取られ思春期を過ごした。
ずっと欲求不満だった。親から得ることが出来ない愛情を、物欲に変えて行った。
愛情を物欲に変えても、物では幸せは得れない。一時的な満足は得れても、次々に欲は湧いてくる。満たされたいと思うと金銭が必要になる。どんなにアルバイトをしても、出て行く金銭が増す。
せっかく金銭を得ても、全てが物に変わった。行き詰まる。
そんな時に、陵介の美貌が金になる事を知った。
最初はちょっとだけの気持ちだったのだろう。しかもゲイ向けだがの男女の絡みだった。
どのように口説かれたのかは解らないが、男同士の絡みにもなった。男と絡む事は本意では無かっただろう。しかし男との絡みでも自分が金になると陵介は知った。
ゲイビに出れば纏まった金になる。欲しい物が買える。
その内、普通にバイトするより身体を売る様になった。
どうして俺と陵介が出会ったのか、その全てが理解が出来た。
完迄に様々な事を書いて来たが、気付いてくれたあの日、陵介の心は動き始めた。
心が動いた時、陵介は親元に帰って来ると言って出掛けた。
それまでの陵介の姿とは違ってた。清々しい姿。悪霊にでも取り付かれてたかの様な姿から、爽やかな陵介になってた。
いつか気付いてくれると信じて陵介の事をして来た。
ついにその時が来た。親元に1度帰る陵介を見送った。
清々しい陵介を見てると涙が溢れた。其までの苦労が全て幸福に変わった。親代わりをして来て良かった。この清々しい陵介になって欲しいと願ってやって来た。
陵介「初めて泣いてる所を見た。」
俺「嬉しいからだ。陵介ありがとうな。」
陵介「ありがとうは俺の方だろ。」
俺「気付いてくれるのを待ってたからな。」
陵介「うん、やっとわかった。明るいよ!。」
陵介は敢えて話を反らした。
陵介「俺みたいなやつの面倒また見るの?。」
俺「陵介だから面倒みて来たんだ。」
陵介「結婚とかしないの?」
俺「たぶんしないよ。」
陵介「そっか、良かった!」
俺「何がだ?。」
陵介「良いじゃん!」
陵介の背中は輝いてた。
直ぐに陵介は帰って来るだろうと思ってた。
親元に帰っても居場所は無い。
しかし陵介は帰って来る処か帰らないと言った。
陵介「心配しないで、今は自分の事を頑張って、俺の事は陰ながら応援して。」
そう連絡があった。
どうやって生活するんだ、再び心配が。心配するなと言われても何が何やら、またおかしな事になるのか?。それとも再び彼女の元へ行ったのか?。
しかし、あの時に陵介は気付いたはずだ。あの気付きは、あの目覚めは演技でも何でも無い。
どうしてだ?何故???
陵介は帰って来ないが、でも陵介は陵介の心は離れて居ない。
離れる処か確りと陵介は俺の所を居場所、帰ってくる場所にしてる。
何故?…陵介は俺を親とした。
実家と疎遠になってる人は別だが、実家に里帰りしてる人には解るだろう。
親元はいつでも帰れる場所。親は必ず待っててくれる人。どんな事があっても親は親。遠慮も無いし安心な相手。
陵介は俺を親としたのだ。
陵介が帰る時に俺を確かめた。俺の気持ちを確かめた。
陵介に代わる者は居ない、結婚したりして他に気持ちが行かない事を、陵介は確認した。
待ってやらないと。陵介は俺を陵介だけのものにしておいて俺から離れた。
陵介と親子になった。私欲も何も無い無償の愛を、陵介は独り占めにして、誰にも手を付けさせない様にして。
俺の心にも陵介はいとおしい息子と言う気持ち。
俺は陵介と出会い、陵介の親代わりをして行く内に、親としての意識が芽生えた。親としての責任にを身に付けた。
陵介の事での苦労は、今から考えれば苦労では無い。
陵介を育てる事に必死だった。死のうとも考えた。陵介の為に死ねるならかまわないと。
何もかもが苦労では無かった。
しかし、いざ陵介が居なくなると何もかもが終わった様に、脱力感と寂しさと、陵介へのいとおしさが込み上げる。
自分の事を頑張ってと言われても腑抜けだ。陰ながら応援と言われても。ただ俺に出来る事は陵介の無事を祈るしか無い。
切ない気持ちも込み上げる。
子育てとはいえ、陵介の幼い時は知らない。幼い精神を育てた。
ついつい陵介の出たゲイビを観てた。
陵介に会いたい。しかし陵介からは今は今は待ってと。
その時、陵介から母親が病床にあると聞いた。ほっとない、しばらく看病すると。
俺「どうするんだ、仕事は?やりかけた事は?。手術をすれば良くなるんだろ?。」
陵介「手術しても長くないって言われたから…帰れないよ。」
俺は愕然とした。もう陵介は帰っては来ないのか?。
しかし、陵介は俺を切る事もしない。
俺「陵介は親元へ帰った、俺は里親でこれで終わっても良いんだぞ。」
陵介「いや、待って、そんな気持ちにならないで!。」
俺は陵介を楽にしてやりたくそう言った。しかし陵介から返って来たのは俺と終わろうとしない。
俺だって終わりたく無い。当然だいとおしい息子だから。
でも、陵介の将来を考えたら、俺は居ない方が良い。金だって返してもらう必要も無い。しかも俺は陵介に取って危険人物でもある。陵介の何もかもを知ってる。親が知らない事も、あんな事もこんな事も。居なくなってやる方が、陵介に取って生きやすいはずだ。
俺はそう思った。
様々な思いが込み上げた。
どうしてやるのが良いのか?。
そして、心の繋がり、法的には親子では無いが、親子と言う絆がある。俺は放置されながらも、陵介の親としての束縛。陵介は俺を親とした。待ってやらないといけない。陵介は居ないが俺の中に、そしていつまでも帰って来れる様に陵介の荷物はそのままだ。
陵介を呼び出し直ぐにでも行きたかった。会いたかった。
しかし容赦なく入る仕事に追われた。でも、陵介を毎日思い、毎日心配をした。
陵介を思う気持ちは忘れる事は無い。更に陵介の思いも伝わる。つらい、苦しんでる。陵介の思いは飛んで来る。
陵介はストレスから来る皮膚炎を持ってる。俺は其までかかった事が無い皮膚炎が俺にもだ。
しかも股間に近い所だ。股間をさらけ出す様な事も出来ない。
皮膚炎は治らない。薬を塗り落ち着いて来るとまた悪化。
陵介の悲鳴で目が覚める。
1ヶ月が過ぎて落ち着いて来た。陵介も落ち着いたのか?。
そんな時に陵介から電話。少し大人びた感じもした。
陵介「大丈夫だよ。忙しいよ。アルバイトで鍛えられてる。」
俺「何処に居るんだ?。」
祖母の住む実家には居ない。
陵介「母さんの所だよ。」
俺「母さん病院だろ?。」
陵介「飼ってる犬もいっから。だから家見ててやんないと。」
俺「そっか、ちゃんと食ってんのか?。」
陵介「なんとかね。」
俺「母さんは?」
陵介「毎日、熱が出てる。体重も…」
俺は長くないと感じた。
同年代が癌で数人亡くなってる。年齢が年齢だけに悪化が早い。
陵介を疑う訳では無かったが、何も言おうとしなかった陵介、何処までが事実か見えなかった。
病床にあるとは言ったが、ひょっとしたら軽いのか?。陵介は何故言わない、言わなかった?。
良い相手…彼女の所?そうとも思ってもみた。それならそれでも良い。陵介がそう選んだのならとも思った。
色々と想像をしてしまう。
仕事が忙しく救われた。
こう言う時に限って、以前に関係があったセフレ的な相手から連絡が来る。ずっと連絡を取り合って無かったのに。
セフレとは書いたが、見せ合い弄り合う、セックスまでは好まないセフレと言うより遊び相手。
ちょっとくらい良いよな。そんな気にもさせられた。
しかし下半身に出た皮膚炎が俺を抑えた。
俺は陵介の何なんだ?陵介は俺の中だけでなく、俺の生活も何もかもを変えた。居ないのに陵介は居るんだ。
地域の役員をする俺、子供会や青年会にも出る。
地域の子を持つ親との交流もある。親が集まり飲み会。
そこで俺は何の苦痛も無く会話を繰り返す。俺の中に陵介が息子で居る。すでに地域の仲間に陵介を紹介してる。息子としてだ。
親同士の会話に参加し、難なく会話が出来るだけの親になれた。
陵介に親の背中を見たと、陵介と再び暮らし始め、仕事を手伝わせてた時に言ってくれた。
父親、俺は親代わりをして行く内に父性が芽生え、陵介を育てる事で育まれた。
親同士からは、親やってんじゃん。親になってるねと言われる。
自分でもそう、ホントバカな息子だけど可愛いと言ってる。
はい、俺はバカ息子のバカ親です。
陵介が俺の元を一端離れて2ヶ月、再び陵介は俺を頼る連絡をして来た。ようやく陵介と会える。
その前に、俺は陵介の祖母に会いに言った。お土産を渡し祖母と話をした。
手紙では何度かやり取りをしてたが、初めて祖母と語り合い、陵介の幼い頃からの事を聞いた。そして俺の思いを告げた時、祖母は親ですねと言ってくれた。
バカな孫を…と言いながらもいとおしい孫だと。俺もそうだと話をした。不思議な子、バカバカと言いながらもお互いに憎めない優しい子と、いつの間にか最後は可愛い陵介となる。
そしてあれから2ヶ月、やっと陵介の顔を見る事が出来た。
陵介「会いたかった。つらかったよ。でも今会ったらまた甘えてしまうと思った。」
俺「甘えて良いんだぞ。手加減して甘えてくれたら良いんだぞ。それで良いんだぞ。」
陵介「俺、お金の無い生活してみて色々わかった。なんとかやりくり出来るんだって。怠けるの好きだから、甘えるの好きだから、でも甘え過ぎてたって。」
1日パン1個で生活したとも言った。電車代浮かせる為に歩いたとも言った。だから大切にする気持ちになったと言った。
しかしどうしても頼らないといけないからと。
陵介は成長しようと一生懸命になってたんだ。
少しでも成長する事が俺に対する陵介の愛情だとわかった。
そして俺は、今までに無い思いが込み上げた。
やはり陵介をこの先も愛し続ける。身体の関係なんてどうでも良い、恋愛何てものどうでも良い。
陵介が俺の息子であってくれたらそれで良い。
今までに無い深い愛情で俺は陵介を愛してる。
そして陵介も深い愛情に応え、俺を深く愛してくれてる。
一生一緒にと陵介が言ってくれた言葉を思い出す。
恋愛的な愛では無いかも知れない。しかし親子の愛は何物にも変える事は出来ない深い愛。
恋愛な愛は終わりがある可能性があるが、親子の愛は俺があの世に旅立つまで続く。
陵介「仕事の事もちゃんと考えてるから。」
俺の仕事を継ぐと言う気持ちも伝えて来た。
俺「無理だけはするな。陵介に代わる者は居ない。時に甘える事もしなさい。」
陵介「うん。だからお願い。」
陵介の頼み事を託された。
2ヶ月ぶりの陵介を見て、俺はまた可愛い息子だと気持ちが強まった。そして日本一美しい息子だと。其までの恋人を含めた愛情より、いとおしい息子を思う父性が動いた。頑張ってる。息子が頑張ってるんだから、俺もこいつを生き甲斐に頑張ろうと。
俺「母さんの事が片付いたら必ず帰ってこい。帰って来なかったら迎えに来る。」
陵介は微笑んだ。
俺は陵介の親として、ずっと俺の横を空けて待ってやる。恋愛の要素を含む含まない関係無く、陵介だけの親である。
小説の様な実話は完結するが、俺と陵介の絆、陵介は俺との絆を生涯のものとした。ふたりには完結は無い。

COPYRIGHT © 2015-2024 憲太郎. ALL RIGHTS RESERVED.

作者  憲太郎  さんのコメント
支えてくれてありがとう。
まだまだ愚痴はあるだろうが、愚痴る事をしながら歩んで行きます。