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アルバイト(エピローグ)


記事No.263  -  投稿者 : アロエ  -  2015/11/26(木)19:36  -  [編集]
「んっ……はぁ……」
 薄暗い空間に響く、少年の喘ぎと吐息。
 床へと跪き、目の前にそそり立つ熱い欲望を、大胆に頬張っている。力強い脈動と溢れ出る先走りが、口の中に広がっていく。
「渉……そろそろ、ヤバい……」
 強張った身体を小刻みに震わせながら、親友が呟く。
 そんな相手を、静かに見上げる。
「俺も……」
 二人の反り返ったペニスが、猛々しいまでの欲望を漲らせていた。
 学校のシャワー室。部活での汗を流すその場所に、今はもう彼ら以外誰もいない。他の部員達は、練習を終えてとっくに帰っていた。自主連で遅くまで残っていたため、こうしてシャワー室を自由に利用出来るのは、ある意味特権であろう。
「立てよ」
 秀平が、言ってきた。
 それに応えて、渉は立ち上がる。
 防水用のカーテンで閉ざされた、本来は一人用の狭い空間に、シャワーで濡れた二人の裸体が向き合う。
 無言のまま、渉と秀平は唇を重ねた。
 互いの唇を貪り、さらに舌を絡ませていく。それに合わせて、二人の吐息も荒くなる。男同士だの世間への体面だの、そんな事今はどうでもよかった。普段は、勉強も部活も頑張っている。皆の前でも、今まで通りに振る舞っていた。何も問題はない。ただほんの一時、親友と二人だけの世界を楽しんでいる、それだけの事なのだ。
「んっ……んぁっ……」
 濃厚なディープキスに、いっそう二人は互いの存在を求め合っていく。
 秀平の右手が、そんな渉の下半身へと伸ばされる。
 濡れた二つの硬いペニスを、掌で束ねて掴む。その密着した熱い欲望を、秀平は静かに扱いていく。
「あぁっ……んぅぅ……秀平……もっと……」
 性感の疼きに、渉はそう訴えずにはいられない。
 あの日、何もかもを忘れると、誓い合ったはずだった。あれから、山岡からの連絡も途切れている。どうやら、約束は守られたらしい。自分達はようやく解放され、日常を取り戻す事が出来たのだ。だが結局、一度知ってしまった快楽の記憶を、渉と秀平は忘れる事など出来なかった。
「今度は……秀平が、口でして……」
 すると、渉の足元へ秀平が跪く。
 渉のペニスが、勢いよく跳ねている。その逞しい存在を前に、秀平の瞳が妖しく輝いていた。まるで吸い寄せられる様に、秀平は怒張した幹へ舌を這わせていく。
 瞼を閉じ、渉はその快感を堪能した。
 睾丸や裏筋を舐め上げ、さらに亀頭を軽く口へと含ませる。柔らかな唇で、先端の敏感な部分へと絶妙な圧力と摩擦を加えていく。
「すげぇ……最高……」
 感嘆の声を、渉は洩らす。
「このまま、イク?」
「秀平のが……欲しい……」
「なら、こっちに向けて」
 秀平の言葉に、渉は身体を返して背を向ける。
 前の壁へと、渉は身を傾けて両手をついた。そして両足を広げながら、後ろにいる秀平へと大きく腰を突き出す。それだけで、自然と身体が震えてくる。被虐の悦びに、感情がいっそう高揚していく。
「秀平……俺を、犯して……」
 あえてそんな言葉で、秀平の欲情を渉はいっそう煽り立てる。
 極限の状況の中で育まれた、渉と秀平の固い絆。あの日以来、互いの身体を求めずにはいられなくなってしまった。自宅、野外のトイレ、部室、そしてこのシャワー室。二人きりになれる場所と時間があれば、渉と秀平は快楽を貪り合った。若い十代の少年同士である。一度吹っ切れてしまえば、後はもう限度がなくなってしまう。
 跪いたまま、秀平は渉の両丘を左右へ押し広げた。
 渉は、大きく息を吐く。
 そんな渉の肛門へ、秀平は静かに顔を迫らせる。何ら躊躇う様子はなかった。シャワーで洗ったとはいえ、本来は排泄器官であるその不浄な部分へと、秀平は舌先を添わせていく。
「あっ……んぁっ……」
 ビクッと、渉は身体を震わせた。
 蕾の表面が、唾液にねっとりと濡れていく。秀平は丹念に舌を繰り出しながら、さらにその内部へと侵入させてくる。
 蠢くその生温かな感触に、もうすでに肛門の奥が熱く疼いてきてしまう。
「は、早く……!」
 堪らず、渉は懇願する。
 その言葉に、秀平は立ち上がった。
 唾液と舌で解された渉の蕾へ、秀平の亀頭が押し当てられる。
 親友の逞しい息吹きを背後で感じながら、渉の呼吸はさらに荒くなっていく。火照った身体が、獰猛なまでに勢いづいたペニスを欲して止まない。理性の箍はとっくに外れていた。だが今の渉に、葛藤や後悔はもう存在しない。
(沙希……ごめん……俺、ホントに最低だよな……)
 恋人の名を、渉は心の中で呟く。あの日以来、彼女との仲は急速に冷めていた。おそらくこのままでは、愛想を尽かされるのも時間の問題であろう。だがそれでいいと、渉は思っていた。こんな穢れきった自分の姿を偽り、なおも彼氏として付き合い続けたところで、相手にとっても何ら幸せはないであろう。
「入れるぞ」
 その時、背後から秀平が告げた。
 渉の中へ、ゆっくりと秀平のペニスが埋められていく。
「んんっ……!」
 熱い欲望の塊が、内壁を一気に拡張させる。
 呻き声を洩らしながら、渉は歯を食い縛った。
 だがそんな渉の背中へと覆い被さってきながら、秀平はさらに肛門の奥深く、ペニスを押し込んでいく。
 ガクガクと、渉の足腰が震える。
 そんな渉の胸へと、秀平は手を回してきた。乳首を指で弄りながら、さらに渉の項や首筋へと舌先で愛撫を繰り返していく。
「はぁっ……んぅぅ……」
 敏感な刺激に、渉は身を捩じらせた。
「やめろってば……ここまできて、焦らすな……チンポで……もっと激しく、突きまくって……」
 切実な声で、渉が訴える。
 クスッと、秀平がかすかに口元をほころばせた。そしてゆっくりと、渉に対し腰を前後に動かしていく。
「んっ……あっ……あぁっ……」
 内壁と硬いペニスが擦れ合い、いっそう中が熱くなってくる。
 だがしばらく、秀平の動きは緩慢であった。膝や腰の角度を微妙に変えつつ、慎重な様子で渉の中を突いていく。
 そしてある角度で、秀平が腰を突き上げた時だった。
「うぁっ……!」
 渉は甲高い声を上げ、背筋を仰け反らせる。
「ここだな?」
 絶妙なポイントを掴み、秀平はそのまま一気に腰の動きを大胆にさせていく。
「ひっ……んぁぁっ……うぅっ……!」
 悶える渉の声が、夜のシャワー室に響き渡る。
 今や秀平は、渉の身体を完全に知り尽くしていた。未だ女を知らぬ少年が、男の前立腺へ亀頭をグイグイと食い込ませながら、かつては恋敵でもあった相手をよがり狂わせていく。
 秀平に犯されながら、渉のペニスは大きく跳ねる。
「だ、だめっ……秀平っ……もう、俺っ……!」
 怒張した幹は、触れられもしないまま先走りを止めどなく溢れさせていた。背後からの強烈な刺激に、自然と熱い疼きが高まってきてしまう。
 そんな渉へ、さらに秀平が激しく腰を突き上げてくる。
「いい……アナル、気持ちいい……このまま、秀平のチンポでイカせて……!」
 男の悦びを知ってしまった渉の求めに、秀平はどこか羨望の眼差しを向けながら、その一点を己の欲望で容赦なく責め立てていく。
「あぁぁっ……!」
 次の瞬間、渉のペニスから大量の白濁が噴出する。正面の薄汚れた壁へと、何度も少年の精液が飛び散った。
 直後、秀平もまた痙攣する様に身体を強張らせていく。
「渉っ……出すぞ……!」
 秀平の欲望が、渉の中で爆発する。
 しばし二人は身を震わせながら、何も出来ずそのままの姿勢で茫然自失となってしまう。絶頂の余韻に浸りながら、渉と秀平は互いの存在を感じ合い、何ものにも代え難い解放感と幸福を今日も満たすのであった。

「じゃあ、行こうぜ」
 シャワーを終え、更衣室で着替えを終えた渉は、同じく帰る準備を整えた秀平を促す。
 そんな渉に、秀平が苦笑する。
「ホントお前、嬉しそうな顔してるな」
「へへ、だって今夜は好きなだけ楽しめるんだから、嬉しいに決まってるだろ」
「言っとくけど、親が起きてる間は、ちゃんと勉強するって約束だからな?」
「分かってるよ」
 今日はこのまま、秀平の家に泊まる予定だった。名目は、来週にある期末テストに向け、二人で勉強するためだ。秀平の親も、昔からの男友達と部屋で一夜を過ごすという事に、何の怪しみも抱いてないであろう。
「次は、俺が掘る番でいいよな?」
 そう言って渉は、秀平の臀部を手で軽く撫でる。
「今したばっかなのに、まだ盛ってんのかよ」
 呆れる様に秀平が言う。だがその表情は、渉へほのかな期待を滲ませていた。
「秀平となら、いくらでも中出しし放題だから、マジ最高だぜ」
「俺のケツが痔になったら、責任取ってもらうからな」
 二人は笑い合う。
 早く秀平の家へ帰りたく、心が躍る。無論、肝心の勉強はちゃんとするつもりだった、だがそれでも、夜は長い。それに明日は土曜だ。部活も、テスト勉強のため休止となる。翌朝の心配をする必要は何もなかった。
 その時、ポケットに入れていた渉の携帯の着信音が鳴る。
 取り出して画面を見ると、登録のしていないアドレスからのメールだった。一体誰かと、メールを開けた瞬間、それまで明るかった渉の表情が一気に固まる。
「どうかした?」
「あいつから……メール……」
「え?」
 画面に表示された内容は、かなりの長文であった。
『渉君、久しぶり。元気にしてた?この間はお疲れ様。いい作品が出来て、本当に感謝してるよ。秀平君とは、あの後も仲良くやってるかな?いきなりこんなメールを送って申し訳ないんだけど、実はお願いがあるんだ。もう一度、アルバイトをしてくれる気はないかな?今度は撮影じゃないから安心して。秀平君にも同じ内容のメールを送っておくから、二人でよく相談してみてよ』
 その時、秀平のポケットからも着信音が鳴る。
 メールの文章は、さらに続く。
『君達のビデオ、すごく評判がよくてね。実際に相手をして欲しいって顧客からの要望が、かなり来てるんだ。それで考えたんだけど、渉君と秀平君それぞれに希望者を募ってのオークション形式で、一番高額な値段を提示した人に、君達が相手をするっていうのはどうかな?無論、それ相応にギャラは支払うよ。オークションでつけられた値の半分を、君達の取り分って事でどうだろう?今までよりもっと美味しい収入になると思うから、ぜひ君達からのいい返事を期待しているからね』
 メールの最後に、日時と場所が記載されていた。


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作者  アロエ  さんのコメント
これで今回の話は終了となります。
読んでくださった方々、本当に感謝しています。