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夏祭り〜ある少年達の成長の記録〜C


記事No.293  -  投稿者 : アロエ  -  2022/02/10(木)22:49  -  [編集]
 本祭は最初、社にて宮司による神事が厳かに執り行われた。その後参列していた氏子の男達によって、御霊の入れられた神輿が担がれ境内を出発する。勇ましい掛け声の中で集落を巡行し、正午になってようやく熱気はひと段落を迎えた。
 集会所前の広場にて、神輿が一旦留められる。
 しばらくは担ぎ手達の昼休憩であった。集会所の中では、男衆へ提供する昼食作りで今度は女性達が大忙しである。午後からはもう一度集落を巡行した後に神社へと帰還する予定であった。神輿から本殿へ御霊を戻す儀式を最後に、宵宮から続くこの土地の祭礼は終了となる。


 昼食を済ませ、午後の再開に備え集会所や広場にて各々がくつろぐ中、陽平は建物の裏手へと誘われて行く少年の後ろ姿を目撃する。
 高宮と翔であった。人目を忍んだつもりであろう。だが彼らの動向に注意を払っていた陽平だけは、その特異を見逃さなかった。
「………」
 陽平は先程の巡行を思い出す。男達が威勢のいい掛け声で練り歩く中で、ある異変に自分は気付いた。皆と共に神輿を担ぎながらも、耳の端まで赤くして顔を伏せる翔の姿を。表情を強張らせ、何かに耐える様にギュッと唇を噛み締めていた。
 しばし思案の後、陽平は何気ないていを装いながら、自分もまた周囲から離れて彼らの後を追う。
 集会所の裏に回り込むと、壁沿いに気配を察し、忍び足でさらに近付く。案の定、そこに翔と高宮の姿があった。
 壁を背にして、泣きそうな顔をした翔が立っている。
 一方高宮は、正面から身体を迫らせ相手の動きを封じていた。彼の右手は少年の下半身へと伸ばされている。
 息を乱しながら、そんな高宮を翔は何とか押し退けようとしていた。だが相手に急所を掌握され、抵抗したくともままならない様子である。
 高宮の行為と、対する翔の引き攣った表情。人気のない場所において、明らかに不穏な光景であった。それでも陽平は介入する事なく、物陰に身を隠したまま静かに彼らを眺め続ける。
「あぁっ……!」
 やがて翔が、堪らないとばかりに腰を捩らせた。
 少年が締める六尺褌。その純白の前袋を高宮はしっかりと掴みながら、悶える翔に対しさらにそこを弄っていく。
「ちょっと触ったくらいで元気に反応しやがる。この若さが羨ましいぜ」
「や、やめてください……こんなとこで……」
 涙声になりながらも、必死になって翔が訴えた。
 だがそんな少年を、高宮が鼻で笑う。
「こんなとこでビンビンにさせてるのは、どこのどいつだ?」
 容赦なく翔へと言い放たれる。
 掌に覆われている事もあり、こちらからは彼の状態を上手く確認する事が出来ない。だが高宮からの言葉に、翔の様相はより苦渋を色濃くさせていく。
「だから……それは、高宮さんが……こんな事を……」
 翔は声を引き絞る。
 しかしそれを受けても、高宮に何ら悪びれる様子はなかった。
「トイレにでも駆け込んで、一人で慰めてる方がよかったか?」
「………」
「神輿担ぎながら、こっちも威勢よくおっ勃たせやがって。他の奴に気付かれたら、完全にお前の趣味を疑われるぞ」
 嘲笑の眼差しと言葉が、そんな翔の窮しているであろう下半身へと注がれる。
「お願いです……もうあんな事は、ホントにしないでください……」
 高宮に対して、翔は何ら反論出来ない様子であった。それだけに彼の中で渦巻く惨めさは相当なものであろう。離れて見ていても、男から辱めを受ける少年の悲痛さが伝わってくる。
「密集して動いてんだから、しょうがないだろ?ちょっとばかしお前の身体に触れたり、くっついたりするくらい」
「そんな……嘘だ……」
 翔による主張がいくら正しくとも、今のこの状況ではあまりに虚しいものでしかない。
 今年の祭は翔にとって初めての参加である。だが感慨も何も、それどころではなかったであろう。神輿を担ぐ地元の男達の中にあって、翔の背後には終始高宮が位置していた。彼とて担ぎ手の一人であり、それは一見して違和感のない光景ではある。巡行を見物していた者達含め、皆何も気付いていなかったであろう。神輿を囲み群れる男達の中にあって、一人の少年へと隙あらば性的な悪戯がなされていた事を。
「褌をこんなパンパンにさせて、誰がお前の泣き言を信じるんだ?」
 股間へ食い込む指が活発に動かされ、翔を責め続ける。
「んっ……やっ……んんぁっ……」
 例えそれがどれだけ不本意であったとしても、翔が発するその艶やかな喘ぎが、彼の中で性感が高ぶっている事実を明確に示していた。
(こんな昼間から、高宮さんも酷な事をするもんだ)
 表の広場からは、人々の賑やかな声が今も聞こえてくる。まさかこんな晴れやかな日に、自分達のすぐ近くでこんな淫蕩が繰り広げられているなど、誰も想像すらしていないであろう。自分とて昨夜の目撃がなければ、今こんな場所にはいなかったはずだ。
(俺だって……人の事を言えないか……)
 自身の股間へと、陽平は視線を下ろす。いつしか前袋の布地がこれでもかと張り詰めていた。何もせずにいるのがもどかしくてならない。いっそトイレにでも行こうかとさえ思ってしまう。
「はぁっ……ん、んぅっ……あぁっ……」
 そんな中で、翔からの切なげな喘ぎが続く。
 若い欲望を煽り立てながらも、高宮は決して翔を果てさせはしない。快感を留め置き、火照り続ける少年の身体をそう簡単に解放するつもりはなさそうであった。
 おそらく翔にとって、今日も長い一日となるであろう。そう陽平は予感する。同時に、自分もまた今日という日を楽しまねば損だと、逸る己の下半身に対して考え直す。
(彼にも、まだ教える事は沢山ある)
 翔の姿と重ね合わせる様に、陽平は昨夜の出来事を思い返すのだった。


「こっちへ」
 境内にある宝物庫の裏側へと、陽平は健史を誘った。皆が帰った後も、今夜は各所に設置された灯籠の明かりが灯されたままである。建物の陰ではあるが、境内裏にいる時よりも健史の姿をしっかりと見る事が出来た。
 宵宮の神事が終わっても、当番で朝まで社務所に詰めている者もいる。だが習わしといっても結局は形式であり、当番の者達も今頃は酒宴で盛り上がっているのが毎年の常であった。境内で起きている事など露知らず、酩酊の中やがて眠りにつくであろう。
 壁を背にして立つ健史の足元に、陽平はしゃがみ込んだ。
 陽平の行動に対し、硬直したまま健史は微動だにしない。ここまでずっと無言であった。だが先程までの衝撃は彼の中でもまだ冷めやらぬ様子で、陽平が視線を注ぐ前袋の布地は、今もなお隆々と張り詰めたままである。
「緊張してる?」
 そんな健史を見上げながら、陽平は問うた。
「東さん……本気なんですか……」
「これが冗談だと思う?」
「………」
 こちらの問い返しに、健史はそれ以上何も言えない様子となる。
(まずは怖がらせないようにしないと)
 逸る気持ちを抑えて、陽平はそう自身へと言い聞かせた。健史に抗う様子はないが、それはあまりに想定外なこの状況において、思考が追い付かず茫然自失となっているからであろう。いくら目の前で欲望を滾らせているからといって、下手な真似をすればそれこそ健史に深い傷を与えかねない。自分を慕ってくれている相手なだけに、陽平はその気持ちを踏み躙りたくはなかった。
「こういう経験は、初めてかな?」
 健史へと、根本的な質問を向けてみる。
「経験っていうのは……」
「誰かと、エッチをした事は?」
「………」
「まだない?」
「そ、その……はい……」
 一瞬返答に躊躇いを見せるも、どうやら見栄を張る余裕もなさそうであった。しかも男同士の気楽な猥談ではなく、今から実際に行われようとしているのである。何をどうしていいのかも分からない状態であろう。
「俺だって、君と同じ歳の頃はまだ何も知らなかったよ。だから恥ずかしがる事なんかないさ」
 陽平は健史の心を少しでも解そうとする。
 だが健史の様相から、不安がそう簡単に消えるものではなかった。
「でも……こんな事、ホントに大丈夫なんですか……男同士ですよ……」
「大丈夫かどうか、それを今から試してみようよ」
「………」
「翔君や慎一君が色んな体験をしているのに、君だけ取り残されたくはないだろ?」
 すかさず陽平は、こんな状況に至ったそもそもの原因を思い出させ、やや挑発的に健史の心を揺さぶる。
 案の定、健史は困惑しながらも黙り込む。例えあまりに異常な出来事であったとしても、彼らは確実に大人の階段を登っているのだ。
「酷い事はしないから、俺を信じて」
 そう言うと陽平は、健史が纏う法被の帯へと手を伸ばす。
「あっ、東さん……!」
 健史が狼狽の声を洩らす。
「上だけなら、恥ずかしくはないだろ?」
「………」
 まだそれ以上の事はしないとなだめつつ、腰に巻かれた帯を陽平は解いた。
 法被の前が開けられる。
 日に当たる機会も少ないため、顔や四肢に比べて肌は白い。それでもサッカー部で日々練習に勤しんでいるだけあって、やや小柄な体格ながら胸や腹部はしっかりと引き締まっていた。体幹から腰へのしなやかなラインは、見ているだけで惚れ惚れとしてしまう。
「なかなかいい身体に仕上がってるね。筋トレとかも頑張ってるの?」
「そうですね……基礎練習が、今は中心で……」
「一年生は色々と地味な日々だろうけど、今をどれだけ頑張るかが、今後の結果に繋がっていくんだよ」
「はい……俺も、東さんみたいに……」
 そんな健史からの返答に、思わず陽平は苦笑してしまう。
「こっちは、もう終わった人間さ」
「そ、そんな事……言わないでください……!」
 急に健史の表情が切り替わり、語気が荒くなる。夢半ばに去った自分に対し、単に上辺だけの慰めを言っている訳ではなさそうだ。
 健史へと、静かに頭を振る。
「別に自棄で言ってる訳じゃないさ。思い通りの結果にはならなかったけど、あの時の努力があったからこそ、また次を頑張ろうって気になれるんだと思う」
 この話はもう終わりだと、健史の腹部へと顔を近づけた。臍の横辺りを、まずは軽く唇で触れてみる。
「んっ……!」
 健史の身体がグッと力む。腹直筋の収縮が、陽平の唇にも鮮明に感じられた。そんな敏感な反応と手応えに、顔を埋めたままさらに口を開けて、瑞々しい少年の肌を甘噛みする。塩辛い汗の味が口内に広がっていく。
「はぁっ……東さん……」
 身悶える健史であったが、そんな陽平を押し退けたりはしなかった。
 さらに口を這わせ、褌の前みつの辺りまで愛撫を広げていく。前袋の中では、少年の欲望が勢いよく反応していた。顔を押し付けていても、その荒々しい脈動がしっかりと伝わってくる。そして汗だけではない、確かな雄の匂いが徐々に濃くなっていく。
(濡らしてる……まだ触ってもいないのに……褌の中で、先走りを……)
 陽平がようやく顔を離す。
 前袋の布地が、さっき以上に湿りを帯びて盛り上がっていた。まさに中から突き破らんばかりである。おそらく健史の中では今すぐにでも褌を剥ぎ取り、己の欲望を一心不乱に扱き立てたい衝動でいっぱいであろう。
「経験がないって事は、つまり健史君はまだ童貞って事だよね?」
 健史の雄としての一面を目の当たりにしながら、だんだんと陽平も気持ちが高揚してきてしまう。さらにそう深掘りせずにはいられない。
「はい……」
 素直に健史が答えた。
「女の子と付き合ったりとかは?」
「ないです……まだそういう相手は……」
「こうしてキスをされたりするのも、俺が初めてだったんだね」
「………」
 容姿もさる事ながら、人当たりのいい健史がその気になれば、いくらでも青春を謳歌出来そうなものである。ひょっとすると健史が気付いていないだけで、彼へ羨望の眼差しを向ける女子は何人もいるのではないか。そんな気がしてならない。
(まさかこういう経験をする事になるなんて)
 我ながら罪な事をしていると、仮にこの少年へ心を寄せる相手がいるならば、陽平は申し訳なく思った。そう遠くない未来に待っていたかもしれない、十代の淡い恋愛などの比ではない体験を、今健史はしてしまっているのだ。
「お、俺……ホントにどうしていいのか分からないです……今まで男に興味なんか……それなのに、東さんにこういう事されて……身体がどんどんおかしくなっていくみたいで……」
 陽平の言葉に触発されてか、健史は泣きそうな声でそう心情を吐露する。自分がなぜ陽平とこんな行為に及んでいるのか、そしてなぜ拒絶出来ないでいるのか、健史自身が一番分からないでいるのかもしれない。十五を過ぎたばかりの繊細な少年に、この現実を呑み込めという方が酷であろう。
 だが陽平は、健史がそんな状態であるからこそ、まずは自分が落ち着きを保つ事に努める。
「大丈夫、これは大人になるための儀式なんだ」
 改めて健史を見上げながら、陽平は今から始まる事への意味を諭した。
「東さん……」
「本当に嫌なら、そこでもう終わりにしよう。絶対に無理強いはしない。約束するよ」
「………」
 ここからが、陽平にとっても本当の力量が試される。健史への言葉は、身勝手な欲望に暴走してしまわないための、自身に対する戒めでもあった。
 そして次なる段階を知らせるべく、陽平は横廻しへと手を掛ける。
 まだこの状況を完全に受け入れられてはいない様子であったが、陽平の行為に健史が抵抗を見せる気配はなかった。
「ジッとしてて」
 そう言って、結びを解いていく。六尺の締め付けが一気に緩む。健史の股間を覆っていた布地は、やがて陽平が手を離すと呆気なく地面に落ちてしまう。
「あっ……」
 露わにされた健史が声を洩らす。今や地下足袋と開かれた法被を残し、少年の素肌はほぼ外気に晒される。
「すごいね、健史君」
 感嘆の眼差しを向けながら言う。布地を介さなくなった若い股間からは、いっそう濃厚な雄の匂いが漂って陽平の鼻腔を刺激する。
(年下だからって……侮れないな……)
 陽平の前で、怒張したペニスが天を仰がんばかりに反り返っていた。あどけなさを残す健史の容貌とは裏腹に、十代の精力を漲らせたそれは、彼がすでに男として立派な成長を遂げている事を見る者へと知らしめる。さらに陽平の視線にまるで応える様に、幹が猛々しく何度も跳ねて下腹を叩く勢いであった。
「そ、そんな……見ないでください……」
 羞恥に耐えられないと、健史は顔を背けてギュッと瞼を閉じる。逞しさを湛える下半身とのギャップに、どこか滑稽さすら感じてしまう。それでも手で隠したりなどはせず、ありのままの姿で健史は立ち続けていた。その懸命さと健気さが、陽平には愛おしく感じてならない。
「恥ずかしいけど、すごくドキドキしてるだろ?」
「………」
 瞼を閉じたまま、しばらくして健史が頷く。
 フッと、陽平は口元をほころばせた。
「俺だって、こんなドキドキは久しぶりだよ」
 黒い茂みを、指先で軽く撫でる。
「っ……!」
 脚腰の筋肉が、また強く収縮した。屹立するペニスも脈動を強めていく。視界を塞いでいるせいで、余計に感覚が鋭敏になっているのだろうか。
 健史の様子を伺いながら、今度は指を熱い幹へと添わせていく。
 すでに健史の息遣いが荒くなっていた。
「あぁっ……」
 指をさらに絡めていくと、強張った少年の身体が小刻みに震える。
 そのまま陽平は、張り詰めた幹をゆっくり慎重に扱いていく。
 鈴口から、新たな先走りの汁がジワジワと滲み出る。膨隆部の半分程を覆っていた包皮も、陽平からの外力で徐々に剥けていく。
「ほら、見てごらん」
 やがて一旦手を離すと、健史へ促す。
「君のが、もっと立派になったよ」
「は、はい……」
 完全に剥き出しとなった己の亀頭を、健史はマジマジと見下ろしていた。発達した雁首もなかなかのもので、これで勢いよく肉壁を掻き出されたならば、相手は一体どんな声を上げるだろうか、そんな想像も膨らんできてしまう。
(これで女の子慣れすれば、まさにヤリチン一直線かもな)
 旺盛な下半身もさる事ながら、そのルックスのいい顔立ちを見上げながら陽平は思った。
「あの……どうかしましたか……?」
 陽平からの無言の視線に、健史が怪訝そうに問うてくる。
「ああ、ごめん、何でもないよ」
 慌てて陽平は取り繕う。こんな時に、余計な方向へ考えを広げてしまっていた事を反省する。何もかもが初々しい彼の今を、自分が堪能出来る事を喜ばねばならない。
 だがそんな自分へと、今度は健史が無言で視線を向け続ける。先程まで羞恥に目を閉じていた彼が、切実な瞳で何かをこちらに訴えているかの様であった。
「どうかした?」
 聞くまでもなかったが、陽平はあえて同じ質問を健史へと返してみる。
「その……」
 言葉を詰まらせ、躊躇いの表情を浮かべていた。それでも健史の意思表示をまるで代行する様に、反り返ったペニスが陽平の眼前で力強く何度も脈打つ。
 これ以上焦らすのもさすがに可哀想だと、陽平はその熱い欲望へ、再び五本の指を絡めていく。
「早く続きをしてくれって、言いたいのかな?」
 さっきよりもしっかりと握りながら、健史へと言う。
「東さん……まだ俺、どうしていいのか分からないです……で、でも……」
「こんなままじゃ、我慢出来ないよね」
「………」
 手の中で滾る感覚が、少年の中で渦巻く葛藤を物語っていた。例え相手が同性であったとしても、快感を得られる事を身体は知ってしまったのだ。
「健史君が射精するとこ、俺に見せてくれる?」
 もはや健史からの返答を待つ必要はなかった。陽平はしゃがんでいた位置を横へとずらし、正面を空ける。そして今度はより大胆に、健史の怒張する幹を扱いていく。
「んんぁっ……はぁっ……」
 加えられる刺激に、健史は身をくねらせる。自分でする事しか知らなかった身体に、荒々しい性感が駆け巡っている事であろう。堪らないといった様子であったが、今や健史は完全に陽平へ身を委ねる形となっていた。
 健史の幹を扱きながら、陽平はさらにもう片方の掌で陰嚢を包み込む。
「ひぅっ……!」
 軽く指を食い込ませると、健史はビクッと腰を引き攣らせた。
「ここも、感じる?」
 健史へと問いながら、絶妙な加減でゆっくりと揉んでいく。
「あっ……んんぅっ……」
 まるで搾り上げられる様に、先走りもいっそう溢れてくる。少年の力んだ脚がガクガクと震えを激しくさせていく。どうやら健史の限界が迫っている様子であった。だがこの旺盛な精力が、たった一度の絶頂で尽きるとはどうしても思えない。
(今夜は長くなりそうだ。翔君や慎一君に、負けないくらい楽しまないとね)
 心の中で健史へと語り掛けながら、まずは彼にたっぷりと快感を体験さすべく、陽平はそれぞれの手で猛る幹と睾丸を攻め立てる。
「だ、だめ……もう俺……!」
 やがて切迫した声を上げながら、健史は仰け反り大きく腰を突き上げた。
 陽平の目の前で、勢いよく白濁が噴き上がる。大きく弧を描きながら地面へと降り注ぐ。かなりの量と飛翔であった。
 次々と迸らせるその光景を、陽平はしっかりと目に焼き付ける。
 欲望を吐き出し、絶頂を終えた健史は放心した様子で立ち尽くす。だが射精により白濁を垂らすペニスは、陽平の前でなおも逞しくそそり立っているのだった。


「祭りの後は、昨日よりもっといい体験をさせてやろう」
 高宮のそんな言葉で、陽平はハッと現実に引き戻される。物陰の向こうでは、まだ少年への辱めが続いていた。
 いつしか翔の法被は肌蹴られ、今度は露わとなる胸肌へ高宮の指が這わせていく。粗野な言動とは裏腹に、繊細な愛撫が昂ぶる少年の身体へと加えられる。
「んぅっ……あっ……はぁっ……」
 壁に背を押し付けられた翔が、何度も身を捩らせていた。そんな彼の姿が何とも不憫でならない。翔にそんなつもりはなかろうが、湧き立つ性感に悶えているその艶かしい反応は、むしろいっそう相手の劣情を煽るものであった。
 翔への手応えに、高宮も満足そうな笑みを浮かべる。
「だからそれまでは我慢しろ。一人でこっそり抜いたりするんじゃないぞ?」
「高宮さん……」
「お前だって、あれを最初で最後の思い出にしたくはないだろ?」
「………」
 何も翔は答えられない様子であった。泣きそうな顔になりながらも、高宮に愛でられ続ける身体はもはやこの程度では治らないであろう。見ている陽平もそれは容易に察せられる。ここでの行為は単なる少年への悪戯ではなく、理性の箍を外しさらなる淫蕩へと誘うための過程に過ぎないのだ。
「後、それとだな……」
 そんな翔へと、高宮はさらなる課題を付け足してきた。
 翔は戸惑いの表情を浮かべるも、もはや高宮に反抗する気配は見られない。どうする事も出来ない状態であろう。祭りの後に待つ享楽の世界が、彼の要求に従う事で約束されるのだ。
「さて、名残惜しいが、ここらで一旦終わりにするか」
 高宮はそう言って、ようやく翔を解放する。
 だが翔の様相に安堵の色はなかった。
 まもなく昼の休憩も終わり、午後の巡行が始まる。陽平は彼らと鉢合わせせぬよう、一足先に皆がいる広場へと戻るべく静かに踵を返した。
「今言った事をしっかりやってみろ、翔」
 激励する高宮の声を背中で聞きながら、陽平は歩き出す。自分もまた、この祭りが終わった後どうすべきかを思案しながら。


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